[情報] 操作される情報、作られる世論/ドキュメンタリー持ちより上映討論会
──宮原文隆(イリノイ州アーリントン・ハイツ)
大統領選挙とマスメディア
市民グループや個人によるドキュメンタリー自主上映活動が活発になってきた。一一月に大統領選挙が控えているのに加えて、マス・メデイアへの不信が基調となっている点も見過ごせない。
イラクからの米軍撤退を主張し続けてきた民主党大統領候補=デニス・クシニッチ氏(オハイオ州選出・下院議員)の支持者の多くは、反戦・平和グループのメンバーや無党派市民で、草の根キャンペーンを展開してきた。皆素人ながら、新聞社への投稿やプレス・リリースの発信を通した一般メデイアを巻き込む活動も疎かにはしていなかった。
こうした活動もあって、三月一六日の民主党予備選挙を直前に控えた一三日にクシニッチ氏を囲む対話集会がシカゴ市内で行われ、シカゴ・トリビューン(地元大手新聞社)が取材にきた。その記事は写真付き・二nだったが、掲載されたのは一七日であった。つまり、メデイアは、予備選挙の前に記事にすることを「無視」したのであった。
こうして草の根活動は報われず、クシニッチ氏は予備選挙に敗退。運動は自然解消するかに見えた。しかし、流れは新たな方向に展開した。
「情報が企業メディアの思惑で流されていては、民主主義に参加する条件が奪われているも同じだ」(イリノイ州・クシニッチ・キャンペーン・アウトリーチ・コーディネーター)。かくして、カウンター・メデイアを目指す活動へと転換していったのである。シカゴ市内では、六月から毎月二回、各グループや個人がドキュメンタリー・ビデオを持ち寄り、上映・討論会が行われている。
FOX社の実態暴露ビデオ
折しも、大手メデイアのひとつ、フォックス・ニュース・チャンネル(以下FNCと略す)の実態を暴露するドキュメンタリー、『Outfoxed(直訳で「ずば抜けて狡猾な」、グリーンウオルド監督77分)』が登場し、メデイア批判に火をつけた。
このドキュメンタリーは、FNCの情報操作を、元レポーターやアンカー、メデイア・アナリスト、独立メデイアのジャーナリストら二五人のインタビューを通して検証している。いくつかの事例を紹介する。