[海外] イラク/汚職との闘いは愛国者の倫理的任務
──8月7日付 イラク共産党中央機関紙「タレーク・アル・シャアブ」(週刊)翻訳・脇浜義明
「慣行」となってしまった《汚職》
〈治安〉はイラク人民にとって大きな問題で、日々の苦痛の種だが、それに劣らず重要な問題が、公的生活のあらゆる部門にはびこっている《汚職》である。贈収賄の横行は、イラク再建と政治の将来にとって、最大の危険の一つである。
比較的「単純な」賄賂慣行でも、人民の日常生活にとって物質的・精神的重荷となって、人民と国家の間の不信感を深めている。求職活動などで官庁へ行けば、必ず賄賂や縁故関係がモノをいう。役人の権力や影響力を個人的に援用してもらわない限り、物事が進行しない。
公的資金や財産の不正運用・使用スキャンダルは、すでに国内紙や国際紙で何回か取り上げられている。不正を行うのはイラク人役人だけでなく、国連関係者や占領当局関係者も同様である。最近、「食のための石油」プログラムで大きな不正事件があったこと、「石油輸出クーポン」で贈収賄があったこと、およびイラク再建資金の不正流用や、占領当局のイラク復興資金使用実態の不透明さなどが、調査の中で浮かび上がった。
「清廉委員会」が設立されたが、これは「効果的な手段や規則でもって、汚職を撲滅しなければならない」という自覚が芽生えた証拠である。汚職問題を政治的優先課題として位置づけたことは、正しい処置である。
しかし、イラクの汚職の根は深く、歴史的・社会的・経済的に長期にわたって形成されてきたもので、容易に退治することができないことは、誰もが予感している。単に〈一個人が、官職を私的利益に利用する〉という定義に収まりきらないほど、社会的に広範にはびこっている。それに清廉さに関する規準も不明であるし、人を官職に採用する場合の資質に関する規準もあいまいなままである。
汚職は前政権下で横行し、公的生活のさまざまな分野に深く根を張った。すべての権力が、独裁者と彼の取り巻きに集中していたので、当然の結果といえよう。彼らは自分の利益や恣意によって、公的資金を好き放題に私物化し、説明責任も公的監査もなかった。
前政権が犯した征服戦争の影響もあって、汚職は異常な社会的・文化的行動慣行にまで発展し、さらにまた旧時代的価値観・風習など大昔の慣行が復活する風土をも生み出した。