[社会] 美浜原発で過去最大の死傷者(死者5名 重軽傷6名)/同型の北海道電力に株主として申し入れ
犠牲者はいつも下請け労働者
八月九日に起きた関西電力美浜三号機の事故は、原発の終焉が近いことを印象づけた。
三一日、同じ加圧式の原発が稼働している北海道電力に、株主と市民グループが株主として申し入れと説明を求め、二時間ほど話し合った。北電も美浜原発事故の原因となった破断部分を七年間検査していなかった。関電は、運転開始から二七年間一度も検査していない。これは犯罪であり、刑事事件である。
様々な問題点の中からいくつかあげてみる。
@一九八七年、米国サリー原発で今回と同様の事故が起こったが、通産省は「日本では起こりえない」と電気新聞に発表している。関電の場合、下請け業者が点検の必要性を指摘しているにもかかわらず、電力会社は無視したのである。結果として、下請けの労働者がいつも犠牲になるのだ。原発は、テレビのモニター室にみるハイテクではない。そこにいるのは電力会社の社員。最も危険で高温の深部に入るのは下請け業者であり、ましてや社長や会長が、汚染箇所で放射能まみれになどならないのだ。この事に私はいつも怒りを感じる。
Aこの事故は、定期点検を短縮する手段として定検前の準備作業中に起きた。定期点検で原発を止めると、関電の場合、一日四億円の損失と言われている。定検を短縮するための作業は、なんと原発の稼働中に起きた。北電の説明でも、「稼働中の作業に何の問題もない」という。人命軽視、経済優先が、この世界で常識になっている。
B北電の説明を聞いていて恐ろしいと思ったのは、「点検部位さえ点検していれば良い」という姿勢である。原発の事故はいつも新しい。かつて泊二号機が完成した折、北電は新式であることを強調した。事故が発生した時「新しい原発には新しい事故が起きるのです」と提言したことがある。原発は、もう人間にはコントロールできない悪の枢軸なのだ。