[コラム] 環境破壊・財政破綻・安全性無視の神戸空港 今なら撤去可能だ
──神戸水環境研究所 讃岐田訓
神戸空港の工事が着工されて六年目を迎える九月一二日、神戸空港工事の中止を求める市民集会を開催する。
「市民の会」の四年にわたる海洋環境調査の結果、神戸空港の護岸によって、大阪湾の潮流に悪影響が及び、空港島東側の大阪湾奥部で、深刻な海洋環境の破壊が起こっていることが判明した。
しかも、神戸空港建設の根幹とも言うべき財源計画が、音をたてて崩れている。神戸市は、埋め立てた空港島のうち、七四fの土地を売却することで、二千数百億円の財源を得るから、「市民には迷惑をかけません」と言ってきた。しかし、空港ターミナル会社や叶_戸新交通など、購入を予定した企業の資金不足や経営難、航空業界の不況などで、この土地が売れる見込みはない。
神戸市は新たな市債の発行によって、事態を先送りしようとしているが、すでに借金漬けの神戸市財政の現状にあって、これはあまりにも無謀である。今年度は、市税収入の実に六七%を公債費(借金の支払い)に当てなければならないという、深刻な惨状である。
こんな財政の現状では、直ちに工事を中止するべきである。開港を前に、日本航空や全日空など主な航空会社は、乗り入れを見送っている。また、管制官やパイロットでつくる航空安全会議でも、安全性に強い懸念を表明している。また、海洋破壊の事態も、今ならわずかの費用で護岸を撤去して、もとの海に戻すことが可能である。
「非核神戸方式」を無視して、神戸を基地の街にする動きがある。中央市民病院も空港に隣接した場所に移転することが決定された。有事法制の実質的な実現にむけて、神戸空港の建設は強引に進められている。とんでもないことである。九月一二日、神戸空港反対集会とデモを、みんなの力で成功させ、工事中止にむけた大きな声を上げていこう。
集会では、沖縄の読谷村村議で反戦地主の知花昌一さんから「基地の街・沖縄」と、辺野古、宜野湾を始めとした沖縄住民のたたかいを特別報告していただく。
翌九月一三日は、五年前の着工の当日である。われわれは集会の成果をもって、神戸市を糾弾するため、抗議行動を行う予定である。
(編集部注・この記事は9月5日号に掲載されたものです)