[コラム] ミニコミ減少の中で出会ったフリーペーパー
──有機本屋=ほんコミ社 五味正彦
八月の暑い時、関西へ出張した。主な目的は、百人一首のかるたメーカーを探して取引交渉することだった。
どうやら、手づくりの良さを生かした本物≠フ百人一首を今でもつくっているのは、京都に数社残るのみ。あのゲーム機の任天堂も、元々はかるた・花札のメーカー。かるたメーカーは皆、堂≠ェつくようだ。
で、その交渉帰りに前から行きたかった、精進料理の「彌光庵」に寄る。鴨川ぞいの静かな店だった。私が全国まわって自然食系の店に寄る理由の一つは、こういう店にミニコミ・イベントチラシなどがいろいろ置いてあるケースが多いからだ。
もちろん、食べ物がおいしく安全でなけりゃ困るけれどね。
ここ一〇年程、特に二一世紀になって、紙製のミニコミ・チラシがどんどん減っている気がしている。休刊・廃刊のお知らせばかりだ。インターネットの利用増大でしかたないのだろうが、例えばイラク戦への反対デモ・集会などの案内チラシがほとんど入手できない。ネット上で情報交換が盛んなだけでは、やらない私らは困るのだ。
そう嘆いていた時に、新しいミニコミに出会った。京都で二つも。一つは彌光庵のチラシ棚にあった『関西ピースウォーカーズ』。
月刊、無料誌、置場にこだわりあり―カフェ(有機栽培等食材に気をつかっている店、バリアフリー、町屋再生、NPOが関係している店など)、NPO・NGO事務所や市民活動推進センターなど。
『関西ウォーカー』ピース・オーガニック版ともいうべきつくり。三〇年前の『プレイガイドジャーナル』を思い出してしまった。
ここで脱線、プガジャがなつかしい、関西の同好の諸君!諸君の支えが足りなくてプガジャはなくなったが、ずっと代表をしていた村元武氏はその後、「ビレッジプレス社」をつくり、『雲遊天下』誌を発行中。注目してほしい。
もうひとつは、知り合いから手渡された『安全安心ガイドブック』(京都)、制作は「NPO京都自給ネットワーク」。これも無料の小冊子。安全・安心・オーガニックなどの店や団体を八〇近く紹介。当然、いろいろなチラシ・ミニコミを置いている店も載っている。
どちらもなかなか良い出来だ。共にフリーペーパーなのも時代を反映しているのだろう。作っている人たちにぜひ会ってみたい。若い人たちなのかな?