[海外] イラクのゲリラ戦
マリア・トムチック ZNet原文-6月30日 益岡賢のページより抄訳
ペンタゴンに戦後イラク運営に関する実質的な計画がなかったことは明らかであるが、イラクでは誰かが米国の支配をサボタージュする方法について計画を立てていたことは確実なようである。
治安と略奪は、米国暫定政権にとって最大の問題となっている。治安問題が解決すれば、援助団体がイラクに食料を持ち込むことができ、文民契約企業がインフラの再建を行える。しかし、六月一九日、米国国際開発局(USAID)は、「侵略軍が占領し「確保」した最初の都市であるウムカスル港の治安は、依然「大きな問題」であり、「さらに問題が大きくなっている」と報告している。
パイプラインへの計画的攻撃
イラクの石油/ガス・パイプラインに対する破壊活動がエスカレートしていることもさらに大きな問題である。
当初、ブッシュ政権は、イラクの石油輸出が戦争終了後二週間で戦争前の状態に戻ると推定していた。その期限は六月半ばに延期された。しかし今やブッシュの戦闘終結宣言から二カ月が経過しているにもかかわらず、石油生産は国内需要をカバーするかしないかである。さらに輸出は、不可能であることがわかった。
米国が「トルコのジェイハン港からイラクの石油輸出を再開する」と発表したと同じ日に、イラク北部の油田とジェイハンとを結ぶ中心的な石油パイプラインが爆破された。北部の石油を南部のウムカスルに向けることはできない。というのも南部へのパイプラインは米軍侵略の際の爆撃で破壊されたからである。早くても今年末まで、このパイプラインは修復できない。
六月二三日、イラクからシリアへ向かう中枢高速道路から三〇〇ヤード離れたところにパイプライン中継点があることを破壊活動家が見つけた。彼らはこれを爆破して、イラク北部の油田からシリアとレバノンに結ばれたパイプラインを爆破し、北部からの輸出経路を実質的に遮断した。
すぐさま輸出用の石油生産を開始できると思われていた南部のルマイラ油田もつまずいた。大規模で体系的な略奪により、近くの水道ポンプ局が破損した(水は石油をくみ出すために油田に投入され、また精製のために使われる)。
ハリバートン社は、「この略奪は意図的な破壊行動であり、経済的利益を上げるためのものではない」と考えている。他の社員は、「石油部門の開発を阻害する以外には無意味であるような、施設に対する攻撃は他にも行われている」と述べた。
しかしながら、破壊行動はそれ以上に及んでいる。六月二二日には、南部の油田とバグダッドのデュラ石油精製工場とを結ぶパイプラインが爆破された。先週起きたその後の攻撃では、首都を含むイラク中部全域に電力を供給している発電所へのガス・ラインが破損した。バグダッドと周辺の住民は、電気も水道もエアコンも冷蔵庫も六月二三日以来全くない状態に置かれている。
さらに、バグダッドの施設管理者も攻撃対象となっている。六月二四日、バグダッド西部全域をカバーする発電所の所長が自宅で暗殺され、電気復興のバグダッド局長が、電力の問題を西側の記者たちと話そうと護衛付コンボイで移動中に、ロケット爆弾により攻撃された。