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更新日:2004/09/02(木)

[情報] 『知っていますか?同性愛ってなに 一問一答』(遠藤和士・ひびのまこと編著/解放出版社/A5判/一二六n)

「〜の基礎知識」や「〜の一問一答」という類の書籍は、「そこにかかれている内容は、問題を考える上での基本であり、絶対であり前提である。従って、読者はそこに書かれている内容は無批判に受け入れるべきである」などと脅迫されているようで、私は不愉快で好んで読むことは避けていた。

ところが、ひびのまこと、遠藤和士編著『知っていますか? 同性愛ってなに 一問一答』(解放出版社、〇四年六月発行。 以下「解放」と略)を手にとってから、「一問一答」書に対する考え方を変える事にした。

以前によく似たタイトルの本、伊藤悟他著『プロブレムQ&A 同性愛って何? わかりあうことから共に生きるために』(緑風出版、〇三年発行。以下「緑風」と略)を読んでいたが、この本を読んだ時点ではやはり「一問一答」書への不信は拭えなかった。

ところが、今回出版された本と対比させて読むことで、同じテーマで書かれている「一問一答」書も数読めば、同じ問いの立て方であっても、答えは執筆者の立場で異なるということが判り、「一問一答」書の書かれている内容は相対的なものでしかないと気がついた。つまり絶対的なものではないので、従って基礎に据える事も、前提に据えることも不可能である。

あなたは「同性愛とは?」の疑問にどんな立場で、どう問いを立て、答える?

一例を挙げよう。「解放」では、「『異性を好きになる』ということは性役割(性役割とは「女と男は違うもの、それぞれ「女らしく」「男らしく」生きていくべきだ…(略)こういった「男女という制度」の中で奨励され強いられる「男/女らしさ」や役割モデル・生き方のこと」(一五n))の一種なので、「同性を好きになる」ということは性役割に違和感があるということ」(二五〜二六n)と性愛を位置づけているのに対して、「緑風」では「人間が同性を好きになるか、異性を好きになるか、といった恋愛感情や性欲が向く方向のこと…は、同性指向と異性指向とにきっぱりと二つに分けられるものではありません。話を極端に簡単にすると、ある人間の中で、同性指向七〇%+異性指向三〇%、のようにある割合で存在していて、その比率はほぼ生得的で、自分の意志や他者の働きかけで大きく変化することはありません」(一六n)と答えており、書籍の立場が大きく違うことを意味していることが判る。

今回紹介した「解放」書が、従来の「同性愛」に関する書籍と大きく異なる点は、「身体障害者にもゲイがいるって聞いたんだけれど、ほんと?」という問いが立てられていることだろう。

身体障害者に限らず、「マイノリティ」は単独でのみ存在するわけではなく、たとえば在日朝鮮人でレズビアン、という立場であるなど、「マイノリティ」が複合して存在することが少なからずある。本書では一例として「身体障害者のゲイ」を取り上げている。

今回『知っていますか? 同性愛ってなに 一問一答』だけを書評するつもりだったが、同性愛に関する二冊の書籍の比較を試みた。しかし、二冊を比較することで見えてくるものがあったと思っている。

私は普段、「バイセクシュアル」で「バイジェンダー」と名乗っているが、改めてバイセクシュアルとは何か、バイジェンダーとは何か、それは社会の秩序の産物か、それとも生得的な本質的なものか、これらの問いを再考するきっかけになった。

さて、これら二冊の書籍、同性愛ってなに(何?)という問いを投げかけられた読者はどう応答するのだろうか。自分の立場から答えるのか、それとも「客観的な」コメントで答えたことにするのか、それとも問いを無かったことにするのか。もっとも、これらに答えるかどうかは読者の自由ではあるが。(MOMOCO)

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