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更新日:2004/08/25(水)

[海外] アフガン現地レポ/垂れ流される援助物資と米軍支援の矛盾──by TAKA

「日の丸」押し立てた復興援助

自分達の独断で物を送りつけ、自慢げに見せびらかす。しかし、日本国旗が燦然と輝くバス停のすぐ後ろには、今日食べる物もない人たちが五万といた。

家族を殺された悲しみを語るマザリシャリフの人々

「タリバンがハザラ族を殺したことを聞きに来た外国人は、あなた達が初めてだ」―マザリシャリフのアリ・チャパンで出会った老人は、真っ先にそう語った。

彼の名前はサイード・アブバス。年齢は、およそ七〇歳だが詳しい歳は分からない。

「タリバン政権ができた三日後に、『ハザラ族を見たら殺せ』という命令が下された。私たちは、アフガンで唯一モンゴロイドの顔立ちをしており、宗教も違う。ハザラ人だということは、他の人間にすぐに分かってしまう」

サイードは、仕事をする手を止めることなく、淡々と語った。彼自身、タリバンに二人の家族を殺され、自身もタリバンから逃れる際に足を撃たれた。以来、杖なしに歩くことは不可能だ。

「この地区にもタリバンが来て、みんな殺されたんだ。車で乗りつけたタリバン達は、ハザラを見るとすぐに殺した。家族を殺されていない人間は、この土地には一人もいない。あそこに見える川は死体で埋まり、犬がそれを食べていたよ」

サイードの顔には、くっきりと深い皺が刻まれ、そのまなざしは、まるで全てに絶望したかのように鋭く、暗く、濁っていた。

僕は、なんの当てもなくこのマザリシャリフに来た。そして、適当な場所で車を止め、靴を直している老人に話しかけたのだ。

「僕は、日本のNGOスタッフで、日本にいる難民を送還させないために活動している。タリバン政権によるハザラ民族の迫害について、調査に来た」と。

すると、みるみるうちに僕らの周りに人が集まり、我も我もと、自分達の苦い過去を話し出したのだ。タリバンによる迫害は、特別な人間に向けられたのではなく、全てのハザラ人に向かっていたのだということが、この田舎町に住む彼らの証言によって分かる。

昼間の気温は四〇度を超える。きつい日差しに目を細めながら、僕は辺りにいる人々を見渡した。彼らは急に訪れた外国人に好奇心を持ち、僕のことをじっと見つめていた。そして、僕がタリバンのことを聞くと、みんな同じような辛い瞳をしながら、ある者は一生残された傷を見せ、ある者は、殺された家族との思い出を語った。

「あそこの家に住む女性は、家族を全員殺されて、心の病気を抱えている。とても一人で生活できるような状況ではないんだ」

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