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更新日:2004/07/09(金)

[情報] 映画評/『オール・アバウト・マイ・マザー』

作品データ

(1999年 スペイン)
監督:ペドロ・アルモドバル
出演:セシリア・ロス、マリサ・パレデス、ぺネロぺ・クルス

映画評

母はたとえ子供を失ったとしても「母」であることができる――。この映画を見て、そんなことを思った。ただ人の親である、ということだけが「母」ではない。人に対して開かれた心を持ち、間違ったことをすれば厳しく叱るが、どんな過ちも許容する優しさを持っている――そんな度量の大きさこそ一番の「母」らしさではないかと私は思う。そしてこの映画でセシリア・ロス演じるマヌエラは、そういう意味でまさに「母」と呼ぶにふさわしい人物なのである。

「移植コーディネーター」として女手一つで息子を育ててきたマヌエラは、彼の誕生日に一緒に芝居を見に行った帰り、交通事故で息子を失う。息子の死を知らせるため、彼女は今は「女」となった元夫ロラを探すために、一七年ぶりにマドリードを訪れる。そこで彼女は、様々な女性たちに出会う。旧友でオカマのアグラード、息子と一緒に見た芝居の主役を演じたトップ女優ウマ、ロラからエイズをうつされたうえ、彼の子供を宿してしまった修道女ロサ。マヌエラが楽屋を訪れてウマの付き人になったことから、彼女たちはだんだんと交流を深め、友情を育んでゆく。どこか弱い部分を持った彼女たちを、時に母のように支えるマヌエラ。人に助けを求められると放っておけない優しさと、誰に対しても公平に向けられる包容力の深さ、マヌエラを見ていると、「私もこんな母親が欲しい」と思ってしまう。しかし、彼女も完璧ではない。彼女たちの力になることで、マヌエラ自身も生きがいを見い出し、人生も再び輝きを取り戻していく。彼女も、やはり人に支えられているのだ。

最後、彼女は亡くなったロサの代わりに、赤ん坊をバルセロナに連れて帰り、再び母となる。これは女の映画だ。波乱万丈な登場人物を、個性豊かな女優たちが演じ、作品にリアリティを与える。彼女たちは困難を抱えているが、悲惨ではない。物語の中にたくさんの「死」をはらんでいながら、作品が生命力に溢れているのは、悲観せずに「今」を生きる登場人物たちが、生き生きと映し出されているからだ。女の友情は男に比べ、表面的で薄っぺらなイメージがあるが、この作品を見ていると、ことあるごとに下ネタ話で盛りあがる男たちなんかよりも、悩みごとを何でも打ち明けられる女の友情はやっぱりいいわぁ、なーんて思ったりするのである。 (評者・齋藤恵美子)

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