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更新日:2004/06/20(日)

[コラム] 渡辺雄三自伝第14回

中ソ対立が党内に波及「志田派の残党」として除名される

釧路市の若い職員Yは党員で、私と友達でした。彼はもともと、中国共産党の熱烈な支持者でした。彼に中ソ対立の事を話したところ、北京放送局に中国共産党支持の手紙を出し始めました。

すると、北京放送局は早速日本からの手紙として、彼の手紙を紹介します。すると、彼はまた手紙を出し、また放送で紹介されます。

これに驚いたのは、日本共産党内の「中国派」でした。早速、政局員の岡田文吉が釧路に飛んできましたが、どうせ彼の言うことは分かっていたので、私は会いませんでした。

もともと道内には「志田派の残党」がいました。この「志田派の残党」とは、共産党が私達のことを指して使っていた言葉でした。

彼らの中の一人が、道炭労講師団のメンバーだったので、私も彼らの存在を知っていました。私は六四年春、「志田派の残党」として、党を除名されました。これは私の望むところで、今更何の未練もありませんでした。

彼らから「関西に来ないか」との誘いがあり、六五年春、私は釧路を離れ、大阪へ行くことにしました。

住友銀行本店占拠事件そして佐藤訪米阻止闘争

大阪に出てきて三ヵ月ぐらいたった頃、「華僑が新聞を出すので来て欲しい」との声が掛かりました。

それまで国内では、日本共産党機関紙「赤旗」が中国側の意見を伝えてきたのですが、中ソ対立が深刻化するや、「赤旗」はその役目を放棄します。

そこで、中国共産党は日本で独自の新聞、「中国新報」を発行することになります。資金の直接の提供者は、主に関西の日中友好商社でした。

中ソ論争が中国国内に飛び火し、国内に存在するソ連との調停派、いわゆる「実権派」と「毛派」との対立が深刻化しました。毛派はこれを党内対立を超え、大衆動員で乗り切ろうとします。いわゆる「文化大革命」の始まりでした。

日本国内では、大学生を中心に「ヴェトナム反戦運動」が高揚しますが、それと共に、この運動の矛先が、大学内の改革に向かうのは自然の勢いでした。

もともと、大阪は社会党内の親中国派(佐々木派)の強い土地でした。佐々木派は、この新聞を、自派の政治新聞として有効に使おうとします。

大阪の社会党親中国派の元締めは、当時全港湾関西地方本部委員長の山本敬一さんでした。当時、彼は大阪府議会議長を兼ねていて、私は彼の自宅や府議会議長室に出入りして取材していましたが、そこで「住友本店占拠計画」を聞きました。

全港湾は当時、住友電工の下請会社に労働組合を組織しましたが、親会社がなかなかそれを認めようとしません。それで彼の案じた計画が、住友財閥の総本山である住友銀行本店の占拠でした。

当日、大阪中之島にある住友銀行本店に行くと、既に赤鉢巻にヘルメット姿・革靴の労働者が多数詰め掛けていました。しかし、機動隊はおろか、私服もガードマンもいませんでした。

それで、労働者部隊は、何の妨害もなく本店内にドカドカと入り、本店の広間全体が赤鉢巻・ヘルメット姿の労働者に占拠され、シュプレヒコールが響き渡りました。そして、何のトラブルもなく、全港湾のデモ隊は整然と住友本店から引き揚げていきました。

「さすがは大阪府議会議長の政治力だ」と感心しましたが、住友側と事前の綿密な打合せがあったことを伺わせました。他方で、「下請労働者の労働基本権の侵害は許さない」との全港湾の基本姿勢を、住友側も認めざるを得ませんでした。

こんなことで、佐々木派は自派の政治新聞として、「中国新報」を有効に利用し、私は、彼らが関係する労働争議への取材依頼で、追いまわされる毎日でした。

六七年一〇月八日、羽田の佐藤訪米阻止闘争は、大学生による実力闘争の幕開けとして、世間に大きな衝撃を与えました。私も現場にカメラを携えていきましたが、写真撮影も命がけでした。警官隊に突入する学生を後ろから撮っていては、迫力のある写真は撮れません。

だが、彼らの姿を前から撮ろうとすると、私が警官隊の側にいて、彼らに向かってカメラを向け、シャッターを押さなければなりません。学生も命がけなら、写真を撮る方も命がけでした。(つづく)

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