人民新聞オンライン

タイトル 人民新聞ロゴ 最新版 1部150円 購読料半年間3,000円 郵便振替口座 00950-4-88555┃購読申込・問合せはこちらまで┃人民新聞社┃TEL (06) 6572-9440 FAX (06) 6572-9441┃Mailto:people@jimmin.com
反貧困社会編集一言政治海外情報投書コラムサイトについてリンク過去記事
更新日:2004/06/07(月)

[コラム] 脱暴力を呼びかける第14回/「怒り」を奪われ去勢される若者たち

自民党の方針で抑圧された「怒り」の感情

若者の「ひきこもり」が、自民党内でも大きな問題として論議されはじめた。「少子化社会」と言われ始め、子供が減少する中で、「労働者」にならない若者が、「一〇〇万人」(五〇万人との説もあるが)もいることに、自民党が危機感をもち始めている。しかし若者が「ひきこもり」になるのは、ある意味、自民党の政策の当然の結果といえるだろう。

「六〇年安保」や「ベトナム反戦」「全共闘」といった風に、若者が熱かった時代、彼らは正義に燃えて行動に参加した。これに手こずった自民党政府はいろいろ考えた。「怒れる若者」という言葉に表されるように、「怒り」=「ホット」と考えた人たちは、若者にホットなことは「カッコワルイ」こと、という文化を流布させる。「感情」をストレートに出さないことが、「都会的」「スマート」と奨励された。

音楽の世界では「ユーミン」に代表される「ニューミュージック」が、政治離れをうながし、テレビでは「たけし」がホットな人間やマジメな人間を「笑いの対象」としていじめまくった。

子どもたちはテレビを通じて、「怒り」の感情を表すことは「カッコ悪い」ことだ、と学んでいった。

怒りを封じられ「引きこもり」や弱い者いじめに

しかし、「怒り」を表さないことは、怒りの感情がなくなった、というわけではない。社会の不正に向けて怒りを表すことも「ダサイ」こととされると、真面目な子や正義感の強い子が、笑いやいじめの対象となった。強者に向かえない「怒り」は、弱者にふり向けられる。

いじめられた側も、それに抗議することは「カッコ悪い」「ダサイ」とされ、笑ってうけ流すよう求められた。それに耐えられない子は、よけいにいじめられ、自殺が急増した。

八〇年代に子ども時代を過ごした多くの人が、「感情」を表さないことを学習した。社会問題では唯一、「環境問題」だけが新しい課題として、「ダサイ」というレッテルを貼られずにすんだため、多くの市民運動が生まれ、若者の参加も多かった。ニューミュージック系の人間も多く参加したため、逆に「環境運動に参加しないと遅れてる」といった風潮さえ生み出した。しかしここでも、資本や保守にどんどん取り込まれつつある。

一方で、社会や政治にストレートに怒りを表明する運動──反戦や労働問題は「ダサイ」とされ、若者が参加しなくなった。

自民党政権と資本は、若者の怒りのエネルギーを仕事に向けさせようとした。「二四時間戦えますか」というコマーシャルはその代表で、ネクタイにスーツのサラリーマンを登場させ、「産業戦士」に仕立て上げた。

しかし、バブルが崩壊してみると、「過労死」という戦死者や、「リストラ」による自殺者など、大量の「戦死者」を生んだことが明らかになった。

こうした親の世代の「大量戦死者」を見た若者は、「負けた者」が「笑い者」になる現代日本文化の中で、負けるとわかったら、外に出ていけない体質になってしまった。そうなると、もう「ひきこもる」しかない。

怒りを強者に向けられない人の中には、外国人やフェミニスト・子供などへの攻撃に、エネルギーを費やす人が出てくる。「イラク人質事件」では、これをもろに見せつけられた。怒りを向ける相手を間違えているのだ。(つづく)

続きは本紙 【月3回発行】 にて。購読方法はこちらです。
[HOME]>[コラム]


人民新聞社 本社 〒552-0023 大阪市港区港晴3-3-18 2F
TEL (06) 6572-9440 FAX (06) 6572-9441 Mailto:people@jimmin.com
Copyright Jimmin Shimbun. All Rights Reserved.