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更新日:2004/05/08(土)

[海外] パレスチナ/まるで「天安門事件」のように……
──タニア・レインハルト(イスラエル資「イェディオト・アハロノト」3/30付)

イスラエル国内で、ヤシン師殺害に関する議論は、費用便益論ばかりで、「正義」という問題には、ほとんど触れない。

国際法は、占領地での処刑を禁じている。第二次世界大戦の恐ろしい経験から生まれた「ジュネーブ協定」は、戦争≠ニ占領状態≠ニを明確に区別している。その基本原則は、@占領地住民は「保護」されるべきで、占領軍は住民の安全を守る義務がある。A占領地住民は解放のために闘う権利がある。

国際協定というのものは、人類が種の保存のために開発した一つの方法である。そういうものがなければ、人類が自滅する危険があるからだ。強者が弱者を滅ぼし、次いで強者同士が争って、一方か、あるいは両方が滅びる。

イスラエルは三七年間の占領の中で、ジュネーブ協定のすべての条項を破ってきた。しかし今回の違反(ヤシン師殺害)は、その中でも最大のものだ。中東問題専門ジャーナリストのロバート・フィスクは『インディペンデント』の中で次のように書いている。「過去何年にもわたって、政府対ゲリラの残酷な戦争にも、一つの不文律が存在していた。街頭の人々、爆弾実行犯、狙撃犯を殺すことはあっても、指導者―政府側の大臣やゲリラ側の精神的指導者は殺さなかった。」

ヤシン師は、自ら占領に反対して戦っていることを自認していた。師の要求は、イスラエル軍が占領地から一九六七年のグリーンラインまで撤退することであった。バラクとシャロンの「鉄拳政策」の時代に、師は長期の「フドナ」(停戦)を提案した。その時も、やはり、イスラエルが自らの意志で占領を終結しないことを知って、「敵が理解する言葉は、戦争と爆弾の言葉だけだ」と信者に語り、「イスラエル人一人一人がターゲットだ」と言ったのだ。

非暴力抵抗をすべて封じ込めたイ軍

ジュネーブ協定は、占領地の民衆が、占領軍に対して武力闘争を行う権利を認めている。しかし、市民に対するテロは認めていない。テロは人道的にも国際法的にも正当化されない。しかし、その点に関しては、むしろイスラエルの方が、自らのやってきたことを検討する必要がある。パレスチナ人が国際法が認める自民族解放のために闘う方法が他にあるのだろうか?

この数ヶ月、西岸地区に建設されている分離壁をめぐって、新しい民衆抵抗運動が起きている。壁のために土地を奪われたパレスチナ農民が、壁建設に反対するイスラエル人の支援を受けて、ブルドーザーの前に座り込んだ。これは全くの「非暴力抵抗運動」である。ところがイスラエル軍は、坐りこんだ農民を撃ち殺したのだ。まるで天安門事件のように…。

イスラエル軍は、パレスチナ人の非暴力抵抗をすべて封じ込めてしまったのだ。礼拝を終えた宗教指導者を殺害する行為は、意図的にテロと暴力の新たな波を引き起こす行為だ。シャロンや軍にとってテロが好都合なので、それを拡大再生産させようとしているとしか思えない。「テロが起きれば、ジュネーブ協定なんか当てはまらない」、「テロに対しては何をしてもよいのだ」と、世界に言いたいのだ。

九・一一以来、米国は「テロとの戦争」で、国際法を蹂躙する行為を無数に行ってきた。その米国でさえ、宗教的・精神的指導者を表立って処刑するようなことは控えている。しかしイスラエルは、テロ戦争の米国に祝福されると思って、それをやってのけたのだ。

人類が悲惨な戦争経験から学んで作り出した予防策を、今やイスラエルが先頭に立って破壊している。しかし、いつか、イスラエルも自らの保護と存続のために、それを必要とする日がくるだろう。我々はそういう歴史をくぐってきたではないか。

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