[政治] やることなすこと妨害ばかり/イラク人質事件
人質解放が遅れたのは小泉政権の責任だ
イラク中部の都市ファルージャを包囲し千数百人の住民を無差別に殺傷している米軍に対して、イラク民衆による抵抗闘争が広がっている。頻発する人質事件の背景は、ファルージャでの虐殺であることは明白。その意味で「人質」を作りだしたのは、米軍であり、占領軍に加担する自衛隊である。
ファルージャでの大量虐殺は、一昨年春にイスラエル軍がパレスチナ自治区ジェニンに侵攻し大量虐殺を行ったことと比較され、アラブ全体を巻き込んだ反米・反イスラエル闘争へと変化しつつある。 アメリカのイスラエル化、アラブ全体のパレスチナ化が始まった。(編集部)
無能小泉 解放交渉を妨害
今回の人質事件で小泉政権は一体何をなしえたのか?
初動において小泉は、外務省に対策室ができた報告を受けてから二時間あまり、大新聞社の編集委員や阿部晋三幹事長らと酒を酌み交わした後に品川の仮公邸に戻っている。その後も、オロオロする福田に「自衛隊は撤退させない」との既定方針を指示しただけで、政府の対策本部にも入っていない。
二日目。政府は逢沢外務副大臣を「現地」に派遣するが、イラクではなく隣のヨルダン。兵士を危険なイラク現地に駐留させながら政府閣僚は、安全なアンマンで「陣頭指揮」しかも「情報収集」というが、入手先は米軍が仕切る占領当局くらいしかないのだから、これという手も打てず、「サマワの報道陣は自衛隊の宿営地に集まること」との指示を出したくらい。これとて、早い話が「これ以上の人質はゴメンだ」ということだ。
小泉は、「テロには屈しない」「確認できる情報がない」との空しい文句を繰り返すばかりで、全く有効な手を打てない無能ぶりを晒した。
さらに許せないのは、人質解放に向けてNGOがネットワークを生かして、犯人グループに日本人民のメッセージを伝え、人質解放への道筋をつけたにもかかわらず、川口外相は、自衛隊派遣をなおも正当化し、犯人グループを挑発するメッセージビデオを作成、家族の反対を無視して放映した。一方小泉は、この重要な時期に米副大統領チェイニーとの緊密な関係を世界に見せつけて、またもやイラク民衆の感情を逆撫でするような妨害ばかりをやっている。
救出に向け即座に動いたNGO!
一方NGOは、様々な動きを見せた。ピースボートは、アルジャジーラに出演してゲリラ側に以下のメッセージを伝えだ。 @.拘束されている三人は本気でイラク人道支援をしてきた人たちである、A我々NGOとしてNGOの仲間を見殺しにできないし、彼らを殺すことは自衛隊撤兵の世論にマイナスに働く、B政府は撤退 を言っているが自衛隊の早期撤兵にむけてNGOをはじめ多くの社会団体が活動していて、日本の世論は変化しつつある
全国各地で、無数の社会団体・個人が自衛隊の即時撤退と三名の救出を求めて街頭行動を行ったことはマスコミでも広く報道された。
他にも様々なNGOが現地との独自の人脈を使って、直接アラブのメディアや宗教団体に訴えた。政府以上の情報収集能力と事態対応能力を証明した。
イラク特措法破綻 自衛隊は即時撤退せよ
ファルージャでモスクを空爆し、非戦闘員を対象にした懲罰的掃討戦を実施し六〇〇人以上を虐殺したのは、米軍である。ファルージャでの虐殺は米軍が無辜の市民を平気で殺す侵略軍でしかないことを明らかにした。多くのイラク人が占領軍を憎み、一刻も早い撤退を求めていることは、誰の目にも明らかだ。
イラク全土が戦闘地域になっている今、「戦闘地域には派遣しない」という派遣の前提は完全に崩壊している。自衛隊が駐留を続ける根拠は全くない。
NGOが活躍できる環境を
戦闘が激化するイラクにあって、市民によるイラク支援の活動があきらかに阻害されようとしている。この事件がきっかけとなって、民間による真の人道支援活動が制限されるようなことがあっては絶対にならない。イラク人のイラク人による新しい国造りのためにも、そしてイラクと日本の信頼関係を築き、共に平和な未来を創造していくためにも、高遠さん達のような活動はどうしても必要なのである。
NGOが活躍できる環境を作り出すためには、自衛隊の撤退は絶対条件である。