人民新聞オンライン

タイトル 人民新聞ロゴ 最新版 1部150円 購読料半年間3,000円 郵便振替口座 00950-4-88555┃購読申込・問合せはこちらまで┃人民新聞社┃TEL (06) 6572-9440 FAX (06) 6572-9441┃Mailto:people@jimmin.com
反貧困社会編集一言政治海外情報投書コラムサイトについてリンク過去記事
更新日:2004/04/19(月)

[海外] パレスチナ/シャロンのヤシン師殺害は世界をテロの恐怖に巻き込む暴挙

シャロンのヤシン師殺害はパレスチナ紛争を宗教戦争へ変質させる

パレスチナ

ハマスの精神的指導者・ヤシン師殺害は、シャロンの指揮で行われたテロである。もともとアラファトを殺害したいのだが、米国の許可が出ないので、アラファトに次いでパレスチナ人の精神的支えとなっているヤシン師なら米国も反対しないだろうという読みで、踏み切ったと思われる。実際、ブッシュは選挙でユダヤ人票をあてにしているから、表立って文句は言えない。

イスラエル平和運動家のウリ・アヴネリは、「犯罪を越えた愚行」と非難し、「イスラエル・パレスチナ紛争を新次元へ発展させるもの」と言う。つまり、「民族紛争から宗教戦争へと変質させるものだ」、と言う。民族紛争は、ある意味では妥協や解決可能だが、宗教戦争は、性格上非妥協的で解決不能なのだ。イラク攻撃の時、米国は、「イスラムとの戦争ではない」と必死に弁明したものだが、阿呆なシャロンは、簡単に域を越えた(シャロンは戦術があるが、戦略がない軍人と評されている)。誰かが言ったように「文明の衝突」という局面に発展しかねない。

もともとイスラエルは、「PLO民族主義者や左派よりは、伝統的イスラム教徒の方が管理統制がやり易く、イスラエルに従順」という見方をして、シャロンが防衛大臣時代に占領地に「ビレッジ・リーグ」という民兵組織を作ろうとした時、政府は、イスラム教徒を刺激するとして、許可しなかった。一九八〇年代初期のハマス設立に際しても、イスラエルは、「PLOへの対抗物」として奨励したほどだった。第一次インティファーダの時も、イスラエルはハマスを優遇した経緯がある。いまや世俗派PLOと宗教派とが逆転してしまった。

パレスチナ人を「自爆攻撃」に駆り立てるのはイスラエルの非人間的な占領そのものだ

マスコミは、ヤシン師殺害を、「自爆テロへの報復」と報道する。しかし自爆テロの背景については報道しない。

ゲハ・ジャンクションで自爆攻撃を行ったシェハド・ハナニ青年は、ベイト・フリクという小さな村出身だ。周囲を道路封鎖され、妊娠女性が近くのナブルスの病院へも行けない袋小路のような村で、住民はほとんど仕事がなく、貧困に喘ぎ、絶えずイスラエル軍から辱めを受ける日々を送っている。シェハドの親族は、一〇日前にイスラエル軍によって殺され、彼の周囲では、日常的にパレスチナ人が殺されていた。二一歳という若さのシェハド青年は、失業と辱めの日々を送っていた。ある日目覚めた青年は、昨日と同じ絶望的生活を過ごすよりは、自爆攻撃のチャンスに飛びつくのは、当然といえば当然で、私だってそうするだろう。

もしテロをなくしたいのであれば、世界がイスラエルにこういう非人間的な占領や抑圧を除去させることだ。ヤシン師殺害やその他の「報復」は、火にガソリンをぶっかけることに他ならない。しかし、たぶんそれがシャロンの目的だろう。パレスチナ人が「自分の意志」で難民として他国へ脱出することを狙っているのだ。

イスラエル人は、ここしばらく自爆テロがなかったので、「八一日間の平穏」と言っていた。しかしその平穏な期間の間に、占領地ではほぼ毎日のようにパレスチナ人が殺され、傷つき、蹂躙され、家屋や果樹園が破壊され、壁に閉じ込められていたのだ。そのことは、イスラエル国内はもちろん世界にも報道されない。たまりかねて絶望的な自爆攻撃が生じると、「パレスチナ人が先に手を出した!」と、待ってましたとばかりに「報復」する。

シャロンの暴挙は、パレスチナ人ばかりでなく、イスラエル人や世界の人々を、果てしないテロへの恐怖に巻き込むものである。

続きは本紙 【月3回発行】 にて。購読方法はこちらです。
[HOME]>[海外]


人民新聞社 本社 〒552-0023 大阪市港区港晴3-3-18 2F
TEL (06) 6572-9440 FAX (06) 6572-9441 Mailto:people@jimmin.com
Copyright Jimmin Shimbun. All Rights Reserved.