[海外・国際] カンボジア/地雷撤去体験記続き
恐怖から怒りへ「地雷なんて埋めたのは誰だ?」
地雷を掘っているうちに、暑い中で作業しているせいか、「恐怖感」が段々「怒り」に変わっていく。「どこのどいつだ!こんな物埋めっぱなしにしやがったのは!」「誰だ?こんな物作りやがったのは!」「ふざけんなあ!畜生!」
そして、再び冷静さを失っていることに気付き、何とか自分を落ち着かせようとする。周りをよく見る。本当にワイヤートラップが無いかもう一度確認し、ゆっくり地面を掘ることを心がける。木の棒の感触だけが頼りだ。
そうやって地雷原を掘り返しながら、怖がったり怒ったり、冷静になろうとしてみたり─をひたすら繰り返す。この後、僕の掘り返して行った先に地雷はなかった。
最後に、館長が見つけた不発弾の掘り出しを任される。例によって、他の三人も全員周りで見ている。
掘り出しに関しては、不発弾の方が恐ろしい。地雷は「ここさえいじらなければ大丈夫」(もちろん状態にもよるが)という物だが、不発弾は爆発する筈のものが、何かの拍子で爆発しなかった物(つまり信管が作動しかかっている等、極めて不安定な状態)になっている場合もあるため、どこを触っても爆発しそうな気がする。
さっきよりも更に丁寧に、少しずつ周りの土をどける。しばらく掘っていって全体が出てきた所で、信管が付いてない(=これ本体が爆発する事はない)ことが判明する。少しほっとする。後はワイヤートラップが無いか確かめながら掘り返す。これを掘り出した時点で、作業は終了。結局四人で二〇〜三〇u位撤去作業して撤去した地雷と不発弾は、ソ連製対戦車地雷一個。ソ連製プラスティック対人地雷PMN二個。同PMN二型一個。ロケット砲の不発弾一個。
以上の五個でした。誰かが地雷を見つける度に、皆集まって処理作業をじっと見守るという、世界でも類を見ない撤去方法(多分)だったんで、さすがに効率は良くなかったと思います。それから「木の棒でチェックしただけで、本当にここにはもう地雷が無いと言い切れるのか?」ということについてですが、その後何度も自分が掘った所を歩き、身をもってチェックしたんで、まあ大丈夫ではないかと思います。
あと、「こんな山奥を人が通ったりするのか?」と自分自身ちょっと思ってたのですが、作業中近所(といっても二`は離れてる)の子供が、木の実の採取に来ていて、館長が地雷に注意するよう、轍の上以外を歩かないよう注意してました。小さい子供がこんな所歩かなきゃいけないのって…。〔U〕(つづく)