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更新日:2004/04/04(日)

[コラム] リンチ社会を導いたマスコミ=麻原世論裁判 ――深見 史

うちでは新聞を取ってない。購読料がブンヤの給料になるのがいやだからだ。テレビもアンテナ線が切れていて映らないが直さない。テレビごろつきどもの顔なんか見たくないからだ。それでも否応なく「ニュース」と称するものがどこかで耳に目に入ってくる。わざわざ息せき切って走ってきて裁判所前のカメラの前ではーふー言ってみせる連中の、愚にもつかない「判決公判ショー」を二月二七日にもたまたま見てしまった。翌日には、不必要にでかい見出しの汚らわしい新聞をうっかり見てしまった。

公安情報を垂れ流し、団体規制法制定のためのオウム排斥運動=住民ファシズムの火付け役を演じ、行政による麻原子女の就学拒否事件をでたらめ報道した朝日新聞は、麻原公判報道でもそのいやらしい体質を限りなく顕わした。

判決公判当日、判決の読み上げがまだ終わっていないにもかかわらず「死刑判決へ」という大見出し記事を載せる、「小心な俗物」などという人格攻撃を平然と書きちらす、小泉首相の「死刑は当然だ」発言を批判なく載せる……これが連中が言うところの「権力チェック機関」の仕事か。

二八日の朝日「社説」は、例によって「何がオウムを生んだのか」「教団を生んだ社会の病巣を少しでも知りたい」と悩むふりをしてみせた。本当に「(被告が)法廷で語ることを拒んだ理由はわからない」のか。

弁護団が語ったように、麻原公判は始まる前から「死刑だ、死刑だ」という「世論」に取り囲まれた世論裁判、リンチ公判だった。そんな中で麻原被告が「語ることを拒んだ」のはまさに当然で、問答無用の「世論」を誘導してきたマスコミに彼の沈黙を批判する資格などあるはずがない。そもそも被告が沈黙するのは権利であって理由なんかいらない。「理由はわからない」などと、わざわざ言う必要はない。

マスコミは一貫して麻原弁護団を攻撃してきた。引き延ばしだ、重箱の隅をつつく尋問だとののしり、弁護団に莫大な国費を使っているとその「無駄」を書き立ててきた。「麻原は死刑が当然」という「世論」があったとするなら、推定無罪・沈黙の権利・「疑わしきは被告人の利益に」原則という法治国家の基礎をあらためて提示し、リンチを求める「世論」を批判するのが言論機関の本来の役割ではないのか。マスコミがやってきたことはまさにその逆だ。裁判など無駄、真実などどうでもいい、早く死刑にしろという「世論」を作り上げるためにだけ、彼らはせっせと記事を作成してきた。

弁護団は尋問調書だけで二二万枚のコピーを作成し、調査費用に一〇〇〇万円以上もかけたというが、そうした膨大な金と手間をかけた弁護活動の内容は全くといっていいほど報道されなかった。最初に結論ありの裁判は法治国家の裁判とは言えない。まさに魔女裁判だ。

一連のオウム事件は実に奇怪なできごとだった。事件そのものもさることながら、警察の捜査にも極めて謎が多い。地下鉄サリン事件の三日前に警察は防毒マスク装着訓練を行った、事件後たちまち警視庁は事件原因をサリンと発表した、鑑定したものと残留物が同一であるのかどうかさえ確かでない等々、事件を警察が予知していたことが見て取れる。(渡辺脩弁護士「麻原を死刑にしてそれで済むのか?」三五館参照)

事件は何一つ解明されないまま「麻原死刑」でめでたく終わるのか。ろくな捜査をしていない警察・検察(するとまずいからかも)と、それを全く追求しないマスコミ(みんなグルかも)の責任こそ甚大ではないのか。

「何がオウムを生んだのか」などと気障ってる前にやることはあるだろうが!

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