[社会] 公安警察動員の「ホームレス追い出し工事」
大阪駅周辺ホームレス追い出しのための「植裁工事」
「大阪駅にいるホームレスを、今度こそ追い出してしまえ」。そんな話が出ただろうことは容易に想像がつく。
三月一日から「JR大阪駅改良」の準備工事が、始まった。これにともない、バスターミナル付近に居住する野宿生活者に対して、JR側は、「二月二九日までに移動せよ」と通告してきたのである。
二月二七日にJR側が行った「説明」はこうだ。@二九日夜からバス停東側(御堂筋側)に資材を搬入、三月一日朝から植栽工事などのために、仮囲いをする。A工事区域内で野宿している人に関しては、施設を紹介する。B工事区域外の人に関しても、移動をお願いしたい。持ち主が不明な荷物に関しては、JRが移動して保管する。C工事は順次、御堂筋側から中央郵便局のある四ツ橋筋へと広げていく、というもの。
しかし、植裁工事なら野宿者側と話し合って、そのテントや段ボールハウスなどの住居に影響がないように配慮しながらの工事が可能なはずだし、工事期間を一年半もかける必要はない。
さらにその説明の中で、JRが「紹介」するといった施設とは、どこにある?何という施設なのか?ということを、当のJR側が全然分かっていないことも明らかになった。おそらく「自立支援センター」がそれに該当することになるのだろうが、(そこが本当に野宿者の役に立つか、という問題はここでは置くとしても)現在入所二〜三ヶ月待ちの状態。入所しても、三ヶ月、長くて半年で、就職出来た出来ないに関わらず出ていかなければならない。
大阪駅周辺では、二〇〇人を超える人たちが野宿生活を送っている。青テント・段ボールハウス・ベンチで睡眠…とスタイルはいろいろ。高層ビルの谷間で助け合いながら生き抜く姿は、人間の優しさとか、強さを感じさせてくれもする。
こうしたなか「大阪キタ越冬闘争実行委員会」と「釜ヶ崎パトロールの会」は、大阪駅御堂筋口のバスターミナル横の小広場で、数回、寄り合いと炊き出しを行ってきた。
これが、行政・警察の琴線に触れたであろうことは想像に難くない。実際「梅田で炊き出しなんかしやがって…!」─これは前号でお伝えした、釜パト不当弾圧の取り調べ時の、大阪府警の捨て台詞だ。
工事は予告通り、三月一日に始まった。大阪府警の公安が二〇人ほどやって来て、ビデオカメラを回すなど緊迫した雰囲気の中で、多くの野宿者や、支援者たちの監視と抗議で、とりあえず現在のところ、強制追い出しや荷物撤去などには至っていない。
「出ていけって、どこ行ったらええねん 」追い出しをかけられている当事者の不安と怒りは、大きい。
ここ一年で、大阪市からJRと「追い出し役」が交代しての「野宿者の排除」。行政・警察・JRが一体となり、「とにかく排除」という鼻息は荒いようだ。 (編集部 小比類巻)