[海外] イスラエル軍がまたもやラファ侵攻──03/12/24 モハメッド・ガライニ
イスラエル軍、「武器密輸」口実にラファ・イブナ難民キャンプへ侵攻
月曜日朝、ガザ回廊南部のラファ市にあるイブナ難民キャンプに、またもやイスラエル軍が侵攻してきた。例によって、「武器密輸トンネル摘発」を口実に。しかし、これは真っ赤な嘘だ。難民キャンプの住民たちは「本当にトンネルを捜すつもりなら、エジプトとの国境付近を捜せばよいので、難民キャンプの奥深くまで戦車を乗り入れて、破壊活動を行う必要はないはずだ」と言っている。
ラファ市のアブ・ユーセフ・ナジール病院のアリ・ムーサ院長によれば、イスラエル軍によって、九人のパレスチナ人が殺され、三〇人以上が負傷した。そのうち五人が危篤状態で、明日か明後日には、死者数が増えるのは間違いない。
国境の前に並んで建っている家の一つに住んでいる住民は、侵攻が始まった最初の数時間の模様を次のように話している。
「壁の門が開いて、戦車が難民キャンプへ向かって轟音を たてて押し寄せて行った。キャンプの人々は、子どもを抱きかかえて、どこか安全な場所はないかと逃げまどっていた」。
ここでいう「壁」とは、エジプトとの国境沿いに建設されている壁で、ところどころに銃座のある塔があり、そこから機関銃がラファ住民を日夜脅かしている。
半世紀以上も続く難民生活 またも家を破壊されホームレスに
ハリル・アル・ナジールも、国境前の家並みの一つに住んでいた。彼は、イスラエル軍侵攻の時に逃げ遅れた。近所の人は、彼が殺される瞬間を次のように語った。「家を飛び出したところを、塔から背中を撃たれた。誰かが彼を助けに走って行ったが、その人も撃たれた。それを見て、何人かの人々が二人を救出しようとしたが、塔からの銃撃が激しくて、救出できなかった」。結局、救出者のうち五人が負傷し、撃たれた二人は出血多量で死亡した。
難民キャンプでは、電気も水道も切断され、数多くの家が破壊された。ラファ市役所によれば、この二ヶ月間で五〇〇軒の家がイスラエル軍によって破壊されたが、その数字には、今回の侵攻で破壊された家の数は含まれていない。
インティファーダ開始から数えると、破壊家屋は一四二〇軒になる。一〇月一〇日の最大規模の侵攻のときは一一四軒が破壊され、破壊を免れた人々も、小型トラックやロバ荷車に乏しい家財を積み込んで、安全な場所を求めて国境付近を離れた。それは、五〇年以上も前に生じた脱出難民の光景を思い起こさせるものだった。
ここガザ南部では、雨期が始まったばかり。私は暖房の効いたアパートの部屋でこれを書いている。外は冷たい風雨が激しい。五五年間も難民生活を続け、またもや家を破壊されてホームレスの難民となったイブナの人々は、どうやってこの冷たく寒い冬を過ごすのだろうか。