[海外] WSFに対抗フォーラム
「ネットワークでなく、組織的抵抗闘争のみが帝国主義者のグローバリズムを打倒しうる」
「WSFは、議論するだけで何らの結論も闘いの方針も出さない」。ムンバイレジスタンス二〇〇四(以下MRと略)組織員会のダーシャン・パル氏は、WSFを批判する。氏は、「グローバリズムの猛威は一〇年以上もこの地球を覆い続けている。いまや議論ではなく行動を起こす時である」とも主張する。
WSFの会場から道路をはさんで一〇〇メートルも離れていない空き地で、MRは行われた。
MRは、昨年一月にハイデラバードで行われた「アジア社会フォーラム」開催時にも別な場所で独自の対抗的フォーラムを開催している。この時にはインド国内の五〇組織が集まった。さらに六月には、ギリシャで国際会議を開き、フィリピンのバヤン、トルコ共産党ML派、ギリシャ共産党などが加わってMR二〇〇四の開催を決めた。
MR二〇〇四は、反帝国主義を掲げ、「明確な綱領を持ち、計画的で組織立った抵抗闘争のみが帝国主義者のグローバリゼーションを打倒しうる」(バングラディッシュ作家・バドルディンウマール氏)と主張して、WSFと区別した独自の立場を表明している。
また、「WSFは、帝国主義者やフォード財団のようなグローバル金融機関の工作対象となっており、彼らの傘下にあるNGOがWSFの主要な構成団体になっている」とも批判している。
しかし、MRはWSFと敵対的な関係というわけではない。MRは、WSFがグローバリゼーションについての活発な議論を提供していることを評価しているし、WSFの側も「WSFとムンバイ・レジスタンスは新自由主義を批判するのだ」と アルンドハティ・ロイ氏がWSF開会式で語ったように、ムンバイ・レジスタンスとも対立・分裂しないで、運動間の共闘を模索しようとしている。実際MRの参加者の多くはWSFにも参加しており、険悪なムードもない。
ただ、半日ほど参加してみた印象としては、違った意見をもって激論を交わすというよりも、「原則論」を振りかざすか、お定まりの帝国主義批判という中身で、議論がいささか教条的で、創造性ある活発な議論というふうには見えなかったのが残念であった。いま、左派に求められるのは、WSFへの対抗的フォーラムを開くことではなく、WSFの持つ欠点を補い、全体をどう押し上げるかという戦略と力量ではなかろうか。
南アフリカ代表、レイプ容疑で逮捕/地元新聞トップで報道
極めて残念なこともお知らせしなければならない。WSFに参加した南アフリカ代表で、ケープタウン在住の最高裁判事も務めるシラジュディン・デサイが一九日、強姦容疑で逮捕された。被害者は、同代表団の一人で、AIDS啓発運動のマネージャーをしている二三才の女性。
容疑者は、容疑を否定している。が、この逮捕劇は、大いに利用された。レイプは無論言語道断だが、地元の主流新聞・テレビはトップでこれを報道し、WSFのイメージは大きく低下した。インドは、階級対立も激烈で、ブルジョア・マス・メディアは、鵜の目鷹の目でWSFのあら探しをしていたのだ。格好の材料を提供したことになる。