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更新日:2004/01/18(日)

[政治] 国論二分化の闘いで派兵阻止を
米国時代の終わりのはじまり──樋口篤三

ブッシュ

人類の敵=ブッシュ

ブッシュ大統領は、最大の盟友・ブレア首相をロンドンに訪ねたが、二〇万人の大デモ隊に包囲されて、一歩も市中に出れなかった。この一つだけでも、イラク戦争の本質をよく物語る。労働党左派系のリビングストン・ロンドン市長は、「恐らく人類がこれまで直面した最大の脅威」者と糾弾し、カーター元米大統領は、「文明国の歴史の中で、ほとんど前例のない誤ったものだ」と、開戦前から反対した。

ベトナム戦争は、一九六八年、米軍五〇万人の投入から三年経ったときの解放戦線軍によるテト(正月)攻勢と合わせて世界的に反戦闘争が爆発的に高揚した。アメリカ学生の徴兵拒否反乱と合流したブラックパンサーや公民権運動、フランスの「五月革命」、日本の反戦青年委─全共闘─べ平連などが世界を連鎖した。

イラク戦争は、開戦に反対して世界六〇ヵ国で一二〇〇万人が大集会・大デモで反戦の波が世界を覆った。これは第一次・第二次大戦をはじめ、朝鮮・ベトナム戦争等になかった人類史上初のことである。

小泉首相は、大量破壊兵器を根拠に米英軍を終始支持し、自公党首覚書は、「三七ヵ国も参戦」と、さも多くの国家が派兵したのに、日本は資金だけではすまないと繰り返し国会で答弁している。

だが、これは全くインチキである。国連一九一ヵ国中わずか二割に過ぎず、しかも中小国をかき集めても─旧ソ連・東欧の一六ヵ国がドル目当て等─これしか集まらないのだ。

アラブ世界ではサウジアラビヤやエジプト、米国の「裏庭」といわれた南北アメリカでは、同盟国カナダやメキシコ等の隣国、ブラジル・アルゼンチン・チリ等は全てボイコットである。アフガン戦争には、五〇ヵ国だったが、これからさえ大幅に減っている。

アメリカ帝国は、第二次大戦後、政治・外向的にかつてなく孤立した。

米国・衰亡化へ

米国に精通した猿谷要(米国史)は、特にブッシュ以降「あまりにも自己中心で、勝手過ぎた」「時には同盟国や友好国さえも、顔をしかめるような態度をとり続けている。そのために世界で広がりはじめた反米感情がわかっていないのである。とくにこの際、アラブ諸国の反米感情は、サダム・フセイン元イラク大統領が拘束されても、この反感は決して収まらず、あるいはかえって高まる可能性さえあるだろう。ローマ帝国や大英帝国など、かつて歴史上に覇をとなえた国は、皆他の国から愛されなくなって、衰亡への道を歩んだ」(「米の独善、足下を揺るがす」朝日・一二月二〇日)

全世界における軍事費の四割を独占する米国は、その強大な軍備によって自らの墓穴化に一歩を進め、その「マネーゲーム資本主義」は、実体経済の一〇〇倍もドルを垂れ流し、「米国外交は失敗し、経済的にも米国型資本主義にほころびが出ている。米国主導の時代は終わりつつある…」(寺島実郎・三井物産、早大)。米国の歴史と実状に詳しいこれらの人々の意見は、かつての「米帝国主義論」とは異なる米国批判で共通している。

アラビア海で米補給艦に燃料を補給する補給艦はまな

愚かなブッシュと追従する小泉

小泉・安倍ら首脳陣は、これらの歴史認識・現実分析が全くなく、逆である。首相の九月国会施政方針演説をぜひご一読を。東アジアは一言もなく、哲学・理念を全く欠いたお粗末な官僚作文で驚いた。NHK・朝日・讀賣等調査はいずれも「派兵反対」五五%、「賛成」三四%前後であり、韓国・中国・マレーシア等は再びなる日本の軍事大国化・改憲化を強く警戒しはじめた。

米国一辺倒が、かってなく進んだ〇三年は、一方で歴史的な東アジア共同体は、中国が一歩リードしつつ水平線上に姿を現しはじめた。イラク参戦は九〇年代以来の「停滞の一〇年」から政治・外交・社会ともに、より下降化する契機をつくるとも言われている。小泉の化けの皮は、社会保障・道路等すべてはがれつつある。

世界史的転換の始まりとしての「米国時代の終わりの始まり」のイラク戦争は、日本では朝鮮戦争─講和・安保、六〇年安保闘争以来の「国論二分」となっている。

青年・学生・市民は三〇年ぶりにベトナム以来のデモに多く参加した。職場・地域で保守・中道のかなりの批判、反対者と共に、多様なネットワークで戦場への派兵阻止の闘いの輪をひろげよう。

それは改憲・軍事大国化と闘う目下の中心の主戦場である。

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