2001年 8月15日
通巻 1084号

 バングラディッシュの農業指導者と話をした。彼の国は90%以上が自家採種で農業をやっているという。日本では、種の自給率は24%で、これもほとんどがF1となり、自家採種の技術を受け継ぐ人は減少の一途をたどっている。同時に、在来種は急速に姿を消している。

 栽培植物の品種の多様性が失われることは、気候の変化に対応できる植物の持つ強さを失っていくことであり、また地域の自給力と文化が失われているということだ。こうした事態をくいとめ、在来種を保存する確実な方法は、それぞれの地域でそれを作り続けることだ。

 地球環境は絶えず変化しており、その変化に対応する植物の能力に依存し、栽培した人の目によって種の選抜を持続することが必要な時代となっている。今、栽培植物の多様性を確保していくために、自家採種を拡大していくことが必要となっている。また、自家採種を広めることが、在来種を復活させる確実な方法だ。

 人口百億人となることが近い将来に見えている。このままの南北間の略奪システムが続くなら、人類の破局がやってくる。このグローバルな市場経済を分権と地域自給=地域文化によって分断しなければ、激動が混乱と殺戮の道に転がり落ちていく。

 バングラディッシュ人に人生の目的を聞いた。「貧困をなくすこと、正直に生きること」。なかなかすっきりしていい。 (I)

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〔参考〕 >> 1058号「ぷりずむ」 種(たね)

人民新聞社

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