2001年 4月15日
通巻 1074号

 中国からの輸入農産物が激増している。これらの多くは、日本から資本と技術が移転された開発輸入であり、F1の種子が中国に持ち込まれている。

 

 F1の品種改良技術は、大量生産・大量消費という青果物市場の拡大とともに定着し、その流通に見合ったものが厳選されてきた。その基準は、「日持ち」と「揃い」であり味とか香りは二の次になる。

 こうした農業を推し進めてきた結末が、同一の種と栽培技術を前提とした価格競争であり、グローバルスタンダードの時代では、すべて中国大陸に産地が移行することになる。

 

 セーフガードは、こうした状況に歯止めをかけ、一定期間に品目ごとの立て直しをはかる〔ユウヨ〕期間であり、今回はネギ、シイタケ、イグサの3品目で発動された。

 

 立派な白ネギが3本くくりで100円というのは、消費者にとっては嬉しい買いものだが農家の労力からすればワリがあわない。

 

 ネギには、岩津・下仁田・九条など日本の誇る在来種があり、トロみと個性ある味と香りで親しまれてきたし、又それぞれの気候風土に適応して地域に根づいている。

 

 栽培植物の品種の多様性が失われることは、気候の変化に対応できる植物の持つ強さを失っていくことであり、同時に地域の自給力と文化が失われることになる。グローバルスタンダードと国権強化の再編を前にして、どこに民権の抵抗拠点を形成していくのかのテーマがここにはある。       (I)

 

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