2000年 12月5日

通巻 1062号

 重信房子が逮捕されて、あちこちで大変なことになっている。捕まった人のことを含めて、英雄のご帰還ともなれば、いろいろと動かなくてはならないのは分かる。しかし、重信は何をしに帰って来たのだろうか。

 耳にはさんだ話によれば、国内公然活動化をめざして、組織化に励んでいたとのことである。国内ですることとは、一体何だったのだろうか。重信は、パレスチナにいてこそ「英雄」なのであって、日本においては季節はずれの幽霊ぐらいのものでしかないのではないか。

 私には、重信逮捕とほぼ同時に共産党が前衛党でなくなったことがオーバーラップする。要するに、戦後ハバを効かしてきた「左翼なるもの終焉」である。人聞きが悪ければ、放棄してきた1970年代の総括といってもよい。そもそも「左翼」とは何なのだろうと思う。「カクメイ」をする人とたちの集まりなのだろうか。しからば、「カクメイ」とは、現在とのつながりの中で、いったい何なのだろう。「カクメイ」することは、常に正義なのだろうか。

 いわゆる「グローバル化」と国内の分権化が進み、文化的退廃と個人の社会的分断化がいよいよ最終局面を迎える中で、カクメイ軍を組織すること以外にすることはなかったのだろうか。私は、別な道での社会改良を行う道が必ずあると信じる。    (K)

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