2000年 6月25日
通巻 1047号
「長い人生や。少しの脱線や遠回りは肥やしになる」という説教は青年時代によく聞かされたセリフである。「明日のジョー」や「明日に向かって撃て」がヒーローになれたのんびりした時代であった。近年、少年や青年が引き起こす殺人事件が相次いでいる。深い闇が人間の心を覆い初めている時代を感じる。
あの60年代から何が変わったか。70年代、ドルの金本位制が停止になった。80年代、金融規制緩和がロンドン発で始まった。90年代、グローバルな貨幣市場がIT化された。つまり、マネーがマネーを生む時代に変化した、ということだ。
富の蓄積様式が、短期化し巨大化したと言い換えてもいい。世界を駆け巡るマネーは300兆ドル、世界のGDPはその1/10、輸出入の総額は1/300、という数字を見ただけで、この世界の異常さがわかる。
直売所へ出荷する村の特産物を競って開発し、それがお金に変わった時の嬉しさは格別なものがある。どんどん販売高が伸びていく時の快感がある。お金を稼ぐことが誇りと感じられる時がある。交換すること、社会的価値として認められること、これがお金を稼ぐということだ。 命の大切さを教えることは、植物を育てるだけでなく、身の丈のお金の価値を教える場づくり、投機的・支配的なマネーの非人間性を教える場づくりが必要なようだ。 (I)
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