2000年 6月5日
通巻 1045号

 政治は「一寸先は闇」というが、後から冷静に考えると起こるべきして起こった事件ばかり。哀れな小渕の急死も後継者森の失言も、考えてみれば終焉の自民党政治がパックリ傷口を開けた感じだ。

 連立与党は、死んだ小渕の同情を当てに6月選挙を仕掛けたものの、森の「神の国」発言で大ピンチだ。連立与党は森発言を選挙の争点から外そうと躍起だが、野党の反撃の足並みも選挙で問われる。忘れてならないのは、「神の国」発言を選挙の争点にしたのが森内閣の支持率を下げた世論だということだ。

 多くの人民が「天皇を中心とした神の国」を拒絶している。それは、今の連立与党の政治の本質を示す最も分かりやすい言葉だったからではないか。真意は違うといくら釈明しても言葉の本質を見抜いた人民は騙せない。言葉が政治を動かすいい見本だ。

 しかし世論は極端な逆戻りには強く反応するが、なし崩しのごまかしや先送りには反応が鈍い。それは森発言に匹敵する反体制側の政治の言葉がないからではないか。

 「人の上に人をつくらず、人の下に人を作らず」―100年前の福沢諭吉の言葉だが、日本人民は民主主義をどれだけ身につけただろうか。この選挙で「神の国」森内閣を叩き潰さなければ世界の人民から笑われるだろう。        (F)

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