2000年 4月25日
通巻 1042 号
横浜の主婦殺人事件、福岡のバスジャック事件と偶然にも連続して起こった17才の少年犯罪に大型連休の話題は独占された。いわゆる貧困や恨みに起因するグレた少年の犯罪ではなく、家庭は豊かで成績の良い普通の少年の犯罪であったことが世間に衝撃を与えた。
凶悪犯罪の低年齢化は、最近の社会現象となってきている。犯罪は、人間が日常生活に追い詰められて破綻した弱い心理の裂け目から発生する。17才という思春期は、純粋な子供の世界から汚れた矛盾だらけの大人の世界を視て悩む年代である。少年犯罪は、大人社会の最も先鋭な反映である。
「殺人を一度経験してみたかった」「世間に腹が立ってしょうがない」。少年の犯罪動機に大人は「今の子供は理解できない」と嘆く。同じように少年は「今の大人は理解できない」と嘆いているだろう。時の即席内閣森首相は青少年犯罪対策会議で「教育勅語にも良いところがあった」と発言する。方向喪失した大人社会の見本のような男である。
真面目に真剣に生きている大人も多く居る。その姿を見て真面目に真剣に生きようとする青少年も多く居る。なのに政治も社会も改革は遅々として進まない。少年犯罪の多発はその警鐘ではないか。考えよう「誰がために鐘は鳴る」かと。(F)
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