1999年 8月 5日
通巻 1017号

 タラの芽は山菜の絶品とされる。新芽をさっと揚げたものは、春の息吹が香ってうまいものだ。そのタラが山に少ない。新芽が出るのを待ちかねて、ヒトが次から次へと摘んでしまうから、タラは成長できないし繁殖もできない。運動を束ねることに熱心なヒトがいる。新芽を摘み集めては組織を作り、態勢を固めることに熱心なヒトがいる。人々の中へ運動が広がるのに、役立っているだろうか。

 かつて社会主義革命があった。鍛えられた前衛集団が権力を奪取し、社会を変革して人々に幸せをもたらすはずだった。革命が成就してみれば、人々は相変わらず革命権力によって、支配される対象でしかなかった。

 21世紀を目前に、戦前の軍国主義日本の復活の気配が濃い。戦後の私たちは民主主義を獲得したかに見えた。人々こそが主権者だと告げられた。堅固な平和が築かれるはずだった。

 「団結と統一」の旗を掲げて闘った。しかし「団結と統一」の基礎に民主主義がなければ運動は所詮、わずかな指導者たちのものでしかない。民主主義とは、主権者である人々が、自ら社会のすべてのことを決めること。群れて流されず、和を尊しとせず人情で判断せず、堂々たる議論の中で考える文化が必要だ。

 地球人類を救う主題は「多様性と個性」。その運動の主題は「個としての自立と連帯」。ネットワークは、数多くの小さな芽が育つために役立つものでありたい。たくさんの運動の小さな芽が世の中一杯に広がればいい。     (雅)

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