2003年7月5日
通巻 1149号

  最近やたらと、消臭とか抗菌をうたった商品が出回っているのが気にかかる。トイレに行くと便座を一回一回消毒できるようなペーパーが置かれているところが見られるようになった。こういうものを見ると、ますます日本の文化が空疎になっていっているように思えてならない◆年寄りと一緒に暮らす経験もなく、労働に汗することを疎んじ、何に対しても自分の手を汚すことを避け、無菌状態の中で育っていく。表面的な見栄えを取り繕うことだけに関心がいってしまい、ますます中身が空疎になっていく。現実感を失っていくという意味において、一種の文化的バブル現象◆日頃あまり体を使うこともないが、先日、1反あまり芋の苗を植える畑仕事をした。小学生の時に学校の近所の畑をかりてみんなで芋を育てた時以来である。汗をかいて、自分の手を汚して植えた苗は、いとおしいものである。鹿や猪に食べられていないか気にかかる。草取りにも行こうと思う。こころが揺さぶられる◆国内では自分の手を汚さない文化状況をつくっておいて、外に行って、「日本も汗をかき、手を汚さないと尊敬される国にならない」と自衛隊を送り出そうとしている。「汗をかき、手を汚す」意味が違うような気がする。生産や創造、人に優しくすることにおいて汗をかき、手を汚したいものである。占領に加担するイラク新法、特別な初めの一歩となる。    (S)

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人民新聞社

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