2002年 9月25日
通巻 1122号

 自然の摂理とはよくできたものであると思う。全体から見ればちっぽけなものでも、すべてが変わってしまう。何の話かというと、埋立中の神戸空港と大阪湾のことである。

 神戸空港が大阪湾に与える影響に関しては、5年前に旧通産省と京大からそれぞれ「深刻な影響を与えかねない」とのモデル実験結果が発表されていた。明石海峡からの潮流が空港島によって遮られ、湾内の潮流が変化し、淀川から流入する汚濁物質が紀伊水道に流れ出さずに、湾奥部に滞留する結果になるというのである。神戸大学の讃岐田訓教授は、昨年からの空港島沖の海洋調査で、このモデル実験を証明する実証データが得られたと報告されている。

 昨年、神戸空港島は、外枠岸壁が完成し、海から見れば「埋め立てられた」のと同じ状態である。環境破壊は、すでに現実のものとなっているのである。

 神戸市は、一貫してこの問題に関して無視を決め込んでいる。環境アセスメントには、先のモデル実験の結果を入れなかった。讃岐田教授の調査結果には、「気象条件で何とでも変わる」と言い張る。「1970年代と同じことを言ってんじゃない」と思う。今はもう21世紀である。我々の共有財産たる海は、我々で守ることはできないのであろうか。(K)

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人民新聞社

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