2002年 9月15日
通巻 1121号

 平壌は澄みきった秋空が広がっていたというが、何ともやり切れない、暗い日朝首脳会談になった。国家や軍隊は、人民の人権や生命を守るためにあるのではない。拉致問題という国家犯罪の悲劇を衆目の前にさらした。日朝国交正常化にもっとも消極的だった小泉が、拉致問題で飛び出したのは何かがあると思った。

 小泉は、ブッシュと金正日の延命策にまんまと乗せられたというしかない。功名心と人気下落の焦りから見事にはめられた。おそらく拉致された若者が8人も死んでいたとは平壌に行くまで知らなかったのではないか。

 何時、何処で、何故死んだのか、その責任もあいまいのまま、謝罪の文言も共同声明に盛り込めず、なぜ国交回復正常化交渉を急ぐのか。国交正常化という名の経済援助。アメリカの軍事支配の経済の肩代わり、環境と人民の生存を苦しめるアジアODAの北朝鮮版。これを日本に押しつけることでは、アメリカ、韓国、中国、ロシアの利害は一致する。

 日本の植民地支配、強制連行の国家犯罪の無自覚、謝罪と賠償責任の放置が、自国の拉致犠牲者の悲劇を生んだ。小泉のアホ外交は見事に暗転した。            (F)

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