2002年 6月25日
通巻 1114号
日本で初めて「狂牛病」の発生が確認されて9ヵ月が経った。これまでに4頭の牛の感染が報告されている。全て、1996年生まれの雄牛、フォルスタイン種。それでも感染ルートの解明は進んでいない。いや、それは既に闇に葬り去られた。
雪印食品のBSE補助金めあての偽装工作は、会社倒産を結果させた。では何故、業界ぐるみの偽装工作が、捜査の対象とならないのか。肉の間に詰め込まれた牛骨。骨付き肉、くず肉、果ては腐敗した冷凍肉まで、国産和牛として政府に買い取らせた空前の税金ドロボーも、闇に葬り去られようとしている。
いや、そもそも、日本での狂牛病発生を阻止しえたはずの農水省の失政の責任は、一体、どこで追及されているのか。肉牛生産農家、卸売、小売店、焼肉店、消費者の全てに、これほどの苦悩を強いた張本人は、ノーテンキに「食の安全対策」をのたまっている。
つまり、警察や検察が裁くのは、体制に影響のない部分にすぎないということなのだ。腐敗は構造的。彼らはその構造を死守するためにだけ部分を切る。
鈴木宗男しかり。外務省の下っ端官僚しかり。そして雪印食品しかり。
管理基準を厳しくし、罰則を強化することが腐敗の根絶につながるというのは、体制側の論理のはず。いつの間にか消費者と呼ばれる大衆も、生協も、有機農業運動も、声を合わせて管理の強化を叫んでいる。
恐ろしい時代の足音が高まってきた。 (M)
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人民新聞社
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