2001年 7月15日
通巻 1082号
いわゆる「小泉改革」の目玉である道路特定財源の見直しは物議を醸している。一般財源化か、財源用途の拡充か、はたまた現行のままか。
最近、この見直し論議に新たなものが付け加わってきた。財源そのものを地方に移管せよというものである。「どこにどんな道路が必要かを一番知っているのは地方である。地方に移管されれば、効率的かつ必要なだけ道路整備ができ、地方分権の流れにも沿う」というのである。本当であろうか。
昨今、大阪府議の贈収賄容疑での逮捕続出に、「いったい何人逮捕すればいいのか」と地検が頭を悩ましていると言われる。地方政治の現状は、どこそこもそんなものなのである。そこに道路整備という極上の甘い汁を与えることは、官僚と議会と業者がよってたかってむさぼり食うことを容認することになるに違いない。
少なくとも今のままの地方のあり方を前提として、道路特定財源の地方移管は、いま以上に市民生活を脅かす危険性が高い。地方議会の改革、自治体の透明性が求められるのだが、そのために必要なのは、それをチェックできる市民層の育成である。果たして、そのようなものが短期にしかも意図的につくれるものかどうか。世の中、一長一短にはできないようになっている。 (K)
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