2002年 1月5日
通巻 1097号
現在の日本の労働運動の衰退をどう捉えるべきか。これを1920年代のフォーディズムの日本上陸から1990年代のグローバリズムに至る資本主義生命力の歴史過程で捉える視点に注目したい(伊藤晃『日本労働組合評議会の研究』社会評論社)。
この歴史過程は、天皇制民族社会へのフォーディズムの浸透による労働組合と労働者階級なき資本主義を目指す企業社会の形成であった。戦前の天皇制国家権力による徹底的な弾圧、戦後の生産性向上運動による巧妙な労使協調主義は、労働運動不在を必然ならしめる資本の意志で一貫している。
労資対立の基本的矛盾による労働運動実在の必然性は、戦前戦後の一時期の運動に証明されるものの、社会変革の主体とはなり得なかった。というより、わずかに実在した変革の主体は、不在たらしめようとする攻撃によって敗退したとみるべきだろう。21世紀の労働運動の展望はこの変革主体の回復以外には拓かれない。 (F)
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人民新聞社
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