人民新聞

脱暴力を呼びかける 第3回

    連れ合いとの関係を良くしたくて
「男の解放」を目指す

「男のための脱暴力グループ」  水野阿修羅

2003年 7月5日
通巻 1149号


突きつけられた「買春」問題

 「釜共闘」崩壊後、何ら運動らしいこともせず、ただ仕事と子育て(?)しかしてなかった。が、在日朝鮮人との付き合いだけは続いていた。連れ合いの友人も、在日が多かった。このこともあって、アジアからの出稼ぎ労働者問題にひかれるようになり、一九八八年、ボランティアの外国人支援組織『アジアン・フレンド』を立ち上げた。
 この中で、東京のグループとも連絡するようになった。東京のグループは、労働組合系・国際交流系・女性解放系と入り交じっていた。私は労働組合系まる出しで、女性グループともめた。「アジアからの花嫁」の問題が始まった時、松井やよりさんや伊従直子さんがとても怒っていたが、私はまったく理解出来なかった。「農村から国際化したら、ちょっとは日本も変わるだろう」ぐらいに考え、女性のしんどさは気づきもしなかった。
 そんな時、「アジアの売買春を考える男の会」(略称「アジ買」)ができ、私の連れ合いは、すぐ連絡をとっていたが、私は興味がなかった。
 この会をつくるきっかけをつくったフィリピン人女性、リサ・ゴーさんと外国人問題で同席することがあった。リサさんは「買春」は男の問題だと言い切り、それまで他人ごとのように考えていた私に、自分のこととして考えるよう突きつけてきた。一人暮らしの時、仕事の関係で「買春」を教えられた私は、結構日本中で「買春」していた。

「男らしさ」って…?

 連れ合いは、アジア人女性のために走りまわる私にこんなことを言った。「アジアの人にはやさしいのに、私にはやさしくないね」と。「何言ってんだ。アジアの女性のために走りまわっている私を批判するのか」というのが私の気持ちだったが、反論すれば、余計もめると思った(態度には出ていただろうが)。「アジ買」に参加するようになったのも、自分の中のやましさと、弁解のためだったように思う。この中で「男らしさ」というものを考えるようになり、この会に参加してた関西のメンバーと、「メンズリブ研究会」を始めた。
 メンズリブ研究会には「男の解放」を目指していたが、私にとっては、「連れ合いとの関係を良くしたい」、というのがメインだったので、メンバーの阿部さんからの、「アメリカで出版された『暴力なしで生きる方法』を一緒に訳して出版しよう」という提案に乗らなかった。私のメインテーマは「売買春」だった。私も含めて、買春する男に女性とのコミュニケーションのとれない男の多いことに気づいた私は、「メンズセンター」設立と前後して、「男のためのコミュニケーション教室」を始めた。「メンズリブ研究会」仲間の味沢さんが賛同し、いろんな手法を教えてくれた。この中に「ワークショップ」という参加型学習の方法があり、私はこの面白さにはまった。

(つづく)

 

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