五輪招致失敗で「テクノポート大阪」計画
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磯村市長は辞任し、地下鉄・北港テクノポート線 を即刻断念すべし |
2001年 7月5日
通巻 1081号
住宅ローンを抱え、子どもの大学進学も控えてるのに、
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【解説】「テクノポート大阪」計画 「テクノポート大阪」計画は、北港地区の舞洲・夢洲に南港地区の咲洲コスモスクエアを加えた3地区から構成される。先端技術開発機能、情報・通信機能、国際交易機能、文化スポーツ・レクリエーション機能、住居機能などを併せ持つ「新都心」として構想された。 |
◎自家用車・タクシーはストップ
大阪市で五輪が開催された場合、交通問題はどうなるのか?長野では、五輪開催中、五輪関係車両優先のため、一般自家用車・タクシーは通行禁止となった。五輪関係車両に道路は占有され、社員が通勤できないため休業した会社が続出したという。大阪で開催された場合、交通渋滞は、さらに深刻となる。1998年APECの大阪開催の際も大阪市内は大混乱したが、五輪となればこの比ではない。
しかも大阪市は、交通問題に関し大阪府警と一切のシュミレーション研究を行わず、IOCに交通計画書を提出した。大阪市が本気で開催を考えるのならば、真っ先に考えねばならない問題であった。長野五輪では、全国の警察が動員されて交通規制にあたった。大阪開催となればなおさらである。にもかかわらず大阪市は、一切府警との相談なしに交通計画を提出しているのである。
◎大企業主導の招致運動
大阪市は、IOCに「8割の市民が賛成している」とのアンケート調査報告を示した。しかし、IOCが独自の世論調査を行った結果は、賛成52%。北京92%など他都市に比べ格段に低い結果であった。施設建設で儲けるゼネコン、観光客で儲ける空港・鉄道会社、そしてホテル業界など大企業が大阪市のケツをたたいて招致運動に血道を上げた。マスコミも付和雷同した。しかしいくら煽っても市民は動かなかったのである。
そもそも8万枚といわれる開会式チケットは、各国のVIP入場者とメディア向けに3万枚、スポンサー関連で約2万枚、海外一般向け1万枚、国内他府県一般向け1万枚程で、府下・市内一般向けには1万枚ほどしか販売されない。ほとんどの普通の市民は、最も人気のある開会式を経験することができないのである。市民の娯楽は多様化している。東京五輪の時のような市民の盛り上がりはもうないと考えるべきだろう。
◎ゴミの島に五輪は浮かばない
今や五輪運動は、環境への配慮を欠かせない。
日本では、PCBなどの猛毒物質が含まれていても、ゴミの上に5メートルの土を盛れば大丈夫というのが埋め立ての「常識」とされている。しかし、世界では、それをコンクリートで被覆してもコンクリートが60年しかもたない、という厳しい基準で「ゴミ」を見ている。
愛知万博では、森を潰して住宅地にするという計画が国際万博協会から厳しいクレームを付けられ、アッという間に計画変更となった。大阪五輪メイン会場予定地であった舞洲は、未だにメタンガス排出用のパイプが林立し、ダイオキシンに劣らないほどの環境ホルモン物質が埋まっている。日本の「常識」は世界の非常識なのであり、ゴミを埋め立てた人口島での五輪開催は、そもそも無理だったのである。
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磯村市長は、再立候補にまだ含みを持たせる発言を繰り返している。しかし、財政問題にせよ、交通問題にせよ、指摘された問題が近未来に解決する見通しは全くない。さらに、アジアにオリンピックが来るのはすくなくとも2020年以降である。それまでには、大阪市が唯一の「ウリ」としていた既存施設は、老朽化している。大阪の再立候補は、永遠に「見果てぬ夢」だったのである。
(つづく)
※次回、「911億円のムダ使い」・「『テクノポート計画』と大阪五輪