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 いま パレスチナでは   ─5月13日 電子インティファーダ

アラブ世界の解放なくしてパレスチナの解放なし

抗議の焼身自殺でチュニジア革命に火をつけた露天商人ムハンマド・ブーアジジのずっと前に、2000年9月、イスラエル軍に撃ち殺された12歳の少年が、西岸地区とガザ回廊の広範なインティファーダに火をつけた事件がある。この第2次インティファーダは、第1次インティファーダ(1987〜93年)と同じように、イスラエル占領に対する草の根蜂起であった。この2つの蜂起によって、世界は「インティファーダ」というアラビア語がパレスチナ解放闘争を意味することを理解し始めたのである。

昨年末、チュニジアで始まった民衆反乱の波がアラブ各国に飛び火する中で、多くの人々は、パレスチナ人がどう出るかを見守ってきた。第2次インティファーダ後の10年間、イスラエルの弾圧は過酷を極め、何千人が死傷、数万人が逮捕・監禁された。パレスチナ自治政府すらもイスラエル軍と公然と協力しあって、占領地内の抗議行動を取り締まり、鎮圧した。それでも、パレスチナ解放運動の精神は弱らなかった。例えば、西岸地区のビリン村やニリン村で毎週おこなわれる抗議デモのように、パレスチナ人の抗議運動は続いている。

アラブ世界のパレスチナとの連帯は、ずっと続いている。インティファーダのときはアラブ人はそれを支持したし、最近のイスラエルのガザ攻撃(2008〜09年)に対して、イエメンからモロッコまでアラブ世界の民衆が抗議した。

しかし、今民衆反乱の的になっているアラブの独裁者たちは、パレスチナとの連帯活動を抑圧するか、懐柔して骨抜きにすることが多かった。アラブの民衆反乱では、その国の国旗以上にパレスチナの旗がはためいた。これは、パレスチナとインティファーダがアラブ世界でいかに重要な意味を持つかを表している。

現在、パレスチナ人活動家は、アラブの民衆蜂起に刺激されて、「第3のインティファーダ」と呼べる蜂起を考えている。フェイスブック上で抗議を呼びかけたものが、世界の各地でパレスチナ人による草の根運動となって芽を吹き出している。

5月15日、多くの活動家、党派、NGOメンバーが、イスラエル占領への抗議と600万人の難民の帰還権実現を要求する行動を行った。5月15日は、ナクバ(破局)の日にあたる─1948年、英軍がパレスチナから引き上げ、代わってシオニストの軍隊がパレスチナの大部分を分捕って、多くのパレスチナ人を追い出してイスラエル国を作ったのを思い出す記念日である。この抗議行動はラマラ、ガザ、アンマン、ダマスカス、カイロ、その他アラブの主要都市で実施することが計画されている。

パレスチナ難民を抑圧しているのは、イスラエルだけではない。例えば、レバノンで暮らす難民は、公民権はおろか一般人権も保障されず、レバノン軍の銃剣によって難民キャンプに閉じこめられている。近年、活動家たちは、パレスチナ帰還運動のためにも、レバノンでの公民権の要求運動を始めた。ナハル・アル・バレド難民キャンプは一度、2007年に壊されたが、難民たちは、パレスチナへの帰還を要求する前に、まず60年前に避難した難民キャンプへの復帰を求める運動をしなければならなかった。シリア、ヨルダンでも難民をめぐる状況は同じで、自由が制限され、政治的活動をする権利は否定されている。ほとんどのパレスチナ難民は、ただ一つ「パレスチナ帰還」を目標にあげているが、同時にそれが長い困難な道のりであることを知っている。

レバノンのパレスチナ難民で、5・15帰還権デモのオルガナイザーであるシャリーフ・ビビは、次のように言った。「パレスチナ人は、いつもアラブの反乱を夢見てきた。何故なら、アラブ世界の解放がない限り、パレスチナの解放もあり得ないからだ。ムバラク崩壊は希望を与え、『我々にもできる』という考えに現実感を与えた」。ビビによると、レバノン中から集まる35000人をイスラエルとの国境の村マルーン・アル・ラスまで運ぶバス500台を手配した。このデモを支持するレバノン政治勢力は、22年前に南レバノンをイスラエルから解放したシーア派抵抗組織ヒズボラ以外、ほとんどいない。

ビビは、「デモの目的の一つは、国境線近くに立って、難民が家に帰る権利をあきらめていない、と示すことだ」と語った。難民の歴史を考える時、アラブ世界の民衆蜂起でパレスチナ人が中心に位置していることが、容易に理解できる。5・15帰還権デモの後、そのことがはっきりするだろう。 (編集部・脇浜)

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