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2015/9/21更新

創価学会員も安保法案に反対する
軍事的競争は破滅に至る

インタビュー T さん(65才)

連日のデモにもかかわらず、安保法案の強行採決が進行中だ(18日現在)。安倍首相に協力した公明党は、党史に決して消せぬ汚点を刻んだが、支援母体である創価学会員にも反対の声が広がっている。大阪市のTさんは、5才で入信し、60年間創価学会員として活動してきた。Tさんに反対運動参加の経緯を聞いた。(編集部・山田)

※ ※ ※

「公明党がおかしい」と思い始めたのは、特定秘密保護法成立への協力です。政府が知られたくないことを隠せる法律で、国家権力の強化につながる危険な法律です。続いて安倍政権は、前任を更迭し横畠裕介氏を内閣法制局長官に任命し、安保法制改悪に向けて準備を進めました。

公明党は、1999年に初めて自民党と連立を組んで以来、選挙においても自民党との協力を進めてきたので、切っても切れない関係になっていると思います。

連立のなかで公明党は、福祉・医療分野で大きな成果を獲得してきたと思っています。ハンセン病患者対策、乳ガン検診助成、臍帯血移植導入などです。

公明党に対し「自民党に擦り寄った」との批判は承知していますが、「福祉の党」として確実に実績を積み上げてきました。その代わりに消費税増税など自民党の政策に軽減税率などの条件を付けて法案に賛成する、という形でやってきました。

蓋を開けたら「集団的自衛権」

昨年7月の閣議決定では、「平和の党」を標榜してきた公明党が、安保法制に協力するのは池田名誉会長の平和理念に背く選択であり、私はかなり抵抗があったのですが、「3要件」の歯止めを付けてなんとか個別的自衛権の範囲にとどめるという説明だったので、何とか容認しました。

ところが、昨年暮れ安倍首相は、訪米して集団的自衛権行使を約束して帰ってきたばかりか、年が明けて出てきた法案には「3要件」の具体的な文言が書かれていないし、国会質疑で首相や防衛相の答弁を聴くと、「3要件」が次々となし崩しにされ、集団的自衛権に変わってていくのを目の当たりにし、信用できなくなりました。

2月頃に青年部時代の友人が、フリースペース(大阪市北区)を使って憲法カフェを企画し「明日の自由を守る若手弁護士の会」の小谷成美弁護士を招いて、立憲主義について学習しました。この講座がとても勉強になり、安保法案のおかしさを確信できたので、5月にも私の地元のお店でも、憲法カフェを開催しました。

学会内部の動き

学会内部の会合で安保法制は、ほとんど議論されることもない状態が今だに続いていますが、反対する人たちがネット上で声を上げ始めました。学会員同士がフェイスブックでグループを作り、議論を始めていました。

誘われて参加してみると、賛成派と反対派がフェイスブック上でケンカ、炎上していました。反対派の人たちは、ネット上のさまざまなデータや資料など、根拠を示し議論を展開していましたが、賛成派は「公明党を信じる」という盲信が大半で、公明党の説明を繰り返すばかり、議論が噛み合わず堂々巡りでした。

しばらくは「議論は喧嘩ではなく、勝ち負けでもない。知見を出し合って高めあっていくものだ」「学会員同士で争うのはやめよう」と説得に努め、沈静化を図りました。

一般には、心の中で「おかしい」と思っても批判されるのが怖くて黙っている人が多く、表立って反対を表明しているのは少数派なので、ネットで輪を広げるよう仲間と協力して進めています。

創価学会の公式コメントは、@宗教団体なので政治に介入しない、A会員がさまざまな意見を表明するのは自由、というものでしたが、6月に「ちちんぷいぷい」というテレビ番組に、安保法制に反対する学会員として出演したのが婦人部の間で噂になり、幹部二人が私の家に事情を聞きにやってきました。

私は二人に安保法制反対の根拠を説明しましたが、彼らはほとんど理解できず、「騒ぎを起こさないでくれ。立場を考えてくれ」の一点張りです。「会員が動揺するので、組織に波風を立ててほしくない」という言い分です。気持ちは分かるのですが、公式コメントを言っても「知らない」と言うので、呆れました。

考えようによっては圧力と捉えられてもおかしくなく、学会本部の公式コメントに反する行為だと思います。

創価大有志の勇気ある声明

8月になると、「安全保障関連法案に反対する創価大学・創価女子短期大学関係者有志の会」が、「安保法案は池田大作名誉会長の思想とは相容れない。創価大学の建学の精神に反する」などとして、安保法案反対を表明。賛同者を募り始めました。私もすぐに参加し、賛同者は1000名を超えました。

有志の会は、「100大学有志共同行動」にも参加し、集めた署名を国会議員に渡しました。呼びかけ人のひとりである創価大教員の佐野潤一郎氏は「署名が短期間で1000人を超えたのには大変驚いています。安倍首相の戦後70年談話も、全く評価できない。『謝罪』という言葉はあるが、誰に謝罪するかは明記されておらず、非常に卑怯だと思います」と述べています。

国会は多数決原理ですから、強行採決すれば法案は成立してしまいます。これに対抗するには、反対世論を盛り上げて、内閣支持率を下げるしかないでしょう。

世界から評価される9条の価値

日本は憲法9条のおかげで、戦争に巻き込まれることなく戦後70年を過ごしてきました。池田名誉会長も、「軍事力で他国と争うことなく平和路線で行くべきだ、9条を守るべきだ」と、一貫して発言しています。

ところが安倍首相は、アーミテージやジョゼフ・ナイら米政府高官が描いた戦略どおりに動いています。米国は日本に前線基地を80カ所以上も置いて、軍事的防波堤として利用しているのです。日本が膨大な軍事費を負担したイラク戦争にしても、大量破壊兵器はなくて戦争の大義自体がウソでした。日本政府はこの失敗を反省することなく、さらに深みに入り込もうとしています。

アフガン支援を続ける中村哲医師は、医療支援に留まらず、井戸を掘り、運河を造り、緑化事業も行っています。彼は、タリバンから危害を加えられたことがない、といいます。タリバンの一兵士ですら憲法9条を知っているからだそうです。それほど世界の信頼を集めている9条です。

軍事競争に手を染めれば、いずれ核兵器を持つことになります。核戦争に巻き込まれれば、日本なんて小さな島国はなくなってしまうでしょう。日本は軍事競争ではなく、被爆国として平和を訴える資格があるし、使命があると思っています。

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