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2015/9/8更新

安保法制の最前線・宮古島より

軍事要塞にされる琉球弧

ピースアクション宮古島 清水 早子

ミサイル部隊の配置

8月19日の報道で、「防衛省は、16年度予算の概算要求として、過去最大の5兆911億円を計上する方針を固めた…中国の海洋進出を念頭に、新型輸送機MV22オスプレイや水陸両用車の導入費用を盛り込むなど、日本周辺の警戒監視や離島防衛の機能強化を目指している」と伝えられた。

沖縄の離島、宮古島で、この報道に私たちは憂慮を深くする。この「オスプレイ」や「水陸両用車」が、私たちの島にやって来ることが計画されているからである。

7月15日、衆議院で戦争法(安保法制)が強行可決され、日本は舵を失った船のように針路を誤った航路へと船出してしまい、日本中に怒りが湧き上がった日。宮古島でも、私たちピースアクション宮古島の呼びかけで、緊急の街頭パフォーマンスを行った。

数時間の呼びかけにもかかわらず、老若男女、とりわけ子連れの若いママたち、仕事帰りの作業着の若者たち、子どもを背負ってギターで歌ってくれた女性、車いすの人たちなど、50名近くの仲間が集まってくれた。そして、遠い東京の国会での可決に、それぞれ特別な思いを心中に抱いていた。それは、宮古島がこの戦争法の最前線となり軍事要塞の島にされようとしている、という危機感を深く感じていたからである。

09年、オバマ政権以降アメリカの国力・軍事力が低下する中、米軍再編が進行し、『防衛計画大綱(10年度)』に基づく中期防衛計画から、「島嶼防衛」がクローズアップされてきた。自衛隊との合同訓練、基地共同使用など、自衛隊が米軍の肩代わりをする防衛政策が進行し、アメリカの世界戦略・対中国戦略に乗っかりつつ、安倍政権は日本の軍事大国化をねらっている。奄美から与那国まで琉球弧の島々の軍事要塞化は、まさにその具現化なのだ。

3000mの滑走路を持つ稀有な地方空港・下地島空港があるために、軍事利用の危険性を40年来、宿命的に背負ってきた宮古島は、15年5月11日に新たな状況に突入した。左藤防衛副大臣が来島、下地敏彦宮古島市長に「新たな陸自ミサイル部隊800名の配備計画」を説明した。翌日の新聞各紙には、すでに配備候補地が2カ所特定されていた。

「大福牧場」(下地幹郎〔維新の党〕一族の土地)と「千代田カントリーゴルフ場」。これまでも、防衛大綱・中期防の中で、島嶼防衛がうたわれ、「海兵隊化された陸自の警備部隊」が300名ほど配備されるという情報は繰り返し流れていたが、翌5月12日の琉球新報には、候補地2カ所に800名の実戦部隊が対空・対艦ミサイルとともに配備され、地下に琉球弧全域の司令部、覆土式の弾薬庫、実弾射撃訓練場、着上陸訓練場、通信設備、隊庁舎建設など、格段に規模が拡大された計画になっている。農場や牧草地やサンゴ礁の海岸線が基地になり、宮古の飲料水の地下水源流域の上にまで計画されている。

批判を省みない強行可決

怒涛の5月、6月、7月闘争の始まりである。炎天下、連日、私たちは食事する間も惜しんで、街頭宣伝・ビラ配布・署名活動・会議・チラシ作成・ネットで発信などに追われた。まず、新たに、市民団体・労働団体・議員を含む会を結成し、活動を始めた。3万枚の署名用紙兼チラシを作成、県外にも呼びかけ、ネット署名(※)も開始した。現在、島内外を合わせて1万筆を超え、さらに2万筆を目指して継続中である。

このように、市民の間で、危機感が高まり、反対の声が大きくなっているにもかかわらず、7月市議会本会議で、「早期配備を求める陳情」は26名の議員のうち、反対は4名、公明2名と下地幹郎(維新の党)の息のかかった会派の4名、計6名は採決を退席し、与党15名は議論も精査もなく、結論ありきの賛成で強行可決されてしまった。議場傍聴席には、かつてないほどの多くの市民が駆けつけ、可決時には、傍聴席で「NO」や「強行可決に抗議」などのプラカードが掲げられ、抗議の怒号が飛び交った。宮古島市議会史上初めての出来事である。議長の制止にも抗議を続けた私を含む3名が、退場を命じられる事態となった。

市長は市民からの「住民説明会の開催」要請に応えず、与党議員は公開質問状に回答もせず、高まる市民の声を一顧だにしない。まさに、安保法制に高まる批判と反対の民意を全く顧みない国政の縮小版コピーの宮古島市政が行われている。

宮古島の闘いへの連帯を!

テレビ東京がスクープしたが、「政府文書によると、宮古島市長・下地敏彦は、防衛省へゴルフ場をすべて買い取り、意のままに使用するよう」働きかけた。翁長沖縄県知事が「沖縄は一度たりとも自ら基地に土地を差し出したことはない」と言っている最中に、宮古島市では市長が自ら土地を売り渡すという恥ずべき行為である。

しかし、抗議行動は拡大し、配備候補先の一つの自治会では「自衛隊配備」に反対する決議を上げ、子育て中の若いママさんたちも会を結成、独自の活動を始めた。

戦争法案の強行採決は、皮肉にも、この国が戦争に向かうこと、そしてそれは宮古島の私たちの足元に一番先に来るかもしれないことを教えてくれる結果になった。

8月12日には、沖縄県うるま沖で、米軍ヘリMH60が特殊部隊の訓練中に墜落、同乗していた自衛隊特殊部隊の隊員2名を含む7名が負傷した。これは、すでに日米軍は一体となり、訓練していることを白日に晒した。参議院での審議中に、防衛省の内部文書も明らかになり、すでに法案を先取りして防衛省独自にシナリオが作られており、軍部の独走が始まっていることも明らかになった。

最後に、進歩的なメディアでさえ、琉球弧の島々への自衛隊配備問題を取り上げることは少なく、全国的な関心を得られていません。まして離島の闘いは、地理的にも困難を極めます。私たちの闘いの立ち上がりも、まだ微力なものです。しかし、琉球弧の島々の軍事要塞化を止める闘いを、この国の戦争を止める闘いとして私たちは行動しています。本土の皆さんの連帯を強く求めます。

*カンパのお願い*
郵貯口座:01770-5-143801
口座名称:止めよう「自衛隊配備」宮古郡民の会

*署名のお願い*
インターネット署名(change.org) URL:http://chn.ge/1MSPKRb
※署名用紙もダウンロードできます

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