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2015/3/19更新

官製ギャンブル依存症利権集団の責任を問うA

パチンコと警察 ギャンブル場化への4つの道筋

元パチンコ店経営者 森川 山水

等価交換営業

カードシステム導入の結果引き起こされたパチンコ業界の未曾有の危機を前にして、パチンコ店側は防衛策に打って出ます。防衛策は大別して4つに分かれますが、共通することは、お客の射幸心を煽り、娯楽としてのパチンコをギャンブルに変質させることでした。落ちた客足を戻すべく射幸心を煽るだけ煽ったのですが、そのうちの2つは警察と商社がタッグを組んで業界に参入する以前は自粛されていたもので、あとの2つは風営法に抵触するものです。

こうしてパチンコ業界は警察の暗黙の了解のもとパチンコ店からギャンブル場化への道をまっしぐらに突き進んでいくことになります。

このギャンブル場化への道筋は、@等価営業、A広告・宣伝の多用、B遠隔操作(大当たり発生確率を店側が人為的にコントロールすること)、C裏モノ(大当たりの発生確率を店側がコントロールすることはできないが、大当たりの連続性が不正に高められた機種)と呼ばれるパチスロの設置、です。

@等価営業(=交換率10割)と呼ばれるものはこうです。パチンコ玉1000発(対価4000円)を使い、プレイの結果1000発を戻し、その戻したパチンコ玉を現金に換えた場合、等価営業では4000円になります。それまでは各店舗が独自に決められる交換率によって戻し額の比率が決められ、その比率は全国どこでも約6割でした。

つまり、上の例でいうと、戻り額は2400円となります。この交換比率を抑えることは、次のような意味を持ちます。100発(対価400円)の打ち込みに対して150発の戻り(この場合、業界用語の「出玉率では150%=損益分岐点)を換金すれば、交換率6割では戻り金額は150×4×0・6=360円となり、この場合、お客の感覚では「よく出ている」となり、実態的にはパチンコ玉の持ちが良く、お金の追加消費は起こりません。つまり、負けを取り戻そうとするギャンブル依存性が抑えられ、娯楽性がより強く出ます。

カードシステム以前のパチンコ業界は、この低交換率を採用することによって消費金額が抑えられる仕組みを堅持していました。しかし、カードシステム、それとセットとなったCR機の不人気の結果起こった客離れを押しとどめるべく、交換率を高め等価営業に移行した店舗の営業成績がいいと、業界間で評判になり、その例に倣う店が増え始め、やがて等価営業が標準となります。この等価営業で150%の出玉率では前述の150発の戻りの例に即すと、150×4×1=600円となり、同じ出玉率で前述の2倍近い金額の戻りとなります。

この交換率の変更だけでその賞金額が一気に2倍になるということは、宝くじの一等賞金が一気に2倍となって購入意欲を高めるような射幸性を生み出し、その分、依存症への誘因濃度を高めます。等価営業の下では、お客各人には結果として出玉率700%の人もいれば0の人もいますが、店側の損益分岐点は出玉率90%ですので、ほとんどの店で出玉率90%以下が標準となり、出玉率150%に比べて玉の持ちが60%低下し、その分、消費金額は増えます。負けが続けば、失う金額は6割増のペースで増え、負けた金額を取り戻そうと躍起になる心性がより強く芽生えます。

この等価営業と後述する消費金額が倍加する不正機が結びつき、パチンコの勝ち負け金額は以前に比べて勝ちパターンで4倍以上、負けパターンでも4倍以上に高額化したギャンブル場に変質したのです。

広告の全面解禁

A新聞のチラシ広告は、パチンコ店の主要で伝統的な広告・宣伝手段で、カードシステム以前は、監督庁の警察の行政指導もあり、その配布は新台入替時に限られていましたが、カードシステム移行後は無制限になります。このチラシ広告の配布無制限と「イベント」と称する営業手法が結びつき、射幸性を一層煽るようになります。

7の付く日は「良く出ます」といったたぐいのイベント内容ですが、これが案外、集客方法としては成果を出し、一般化します。チラシ広告の内容を鵜呑みにして期待に胸を弾ませてパチンコ店に行き、大負けした人は広告に騙されたと思い、その「騙した」店から負けを取り戻そうと躍起になり、これもまた依存症の萌芽となります。

「100円の物が本日は特価=80円です」と謳うスーパーのチラシ広告と違い、大当たりの発生は確率の世界です。したがって、パチンコ店の「出ます、出します」の広告は、その実現を保証するものはないので、結果的に虚偽広告となる場合があります。

遠隔操作と警察OB

B遠隔操作は、その設備投資に数億円のお金を要し、その事実が発覚すれば数カ月の営業停止となる不正工作であるため、実行した店舗は全体の1%以下だとは推測しています。発覚しても長期の営業停止処分を受けないために警察OBを雇い入れる企業も多く、ここに現場と監督庁の警察の癒着を見る業界関係者がほとんどでした。

パチンコ店は「風営法」下にある規制産業でもあり、その監督の任にあたるのが警察の生活安全課です。風営法違反があれば、その地方の公安委員会が処罰内容を決めます。パチンコ店の風営法違反の営業に対する処罰は、中立・公正なものではなく、「外部からの働きかけに左右される」というのが、これもまた業界関係者の一般的理解です。

風営法違反で6カ月の営業停止処分を受けて、その間の何十億の売り上げを失うのに比べたら、高給で警察OBを雇い入れることは、事業所側からすれば合理的な保険的支出です。一般犯罪のように裁判所で科料を決めることができれば、腐敗の温床は少しはきれいになるのですが…。

市場に流通するパチンコ、パチスロ機は、警察の外郭団体である保通協(保安電子通信協会)が実施する型式試験で大当たりの発生確率、大当たりの連続発生数などが規制されます。型式試験の規制内容に合致する機種がパチンコ店に並び、お客に供せられます。

これに対し遠隔操作は、合法的に設置された機種を店側が不正に加工し、強制的に大当たりを発生させる仕組みです。店内の事務室で、営業フロアーに設置されたテレビカメラで店内のお客の様子と営業状況を見ながら、連続大当たりを強制的に発生させるかを決め、お客にアピールします。

この不正で違法な仕組みがギャンブル依存症者の増加とどのように関連付けられるかは、実施店舗が限られていたため、明確ではありません。

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