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2014/12/29更新

2014年総選挙に思うB

社民党の敗北
広がりのなさ・「中間」のなさは社会運動の本質的問題でもある

大阪府豊中市議(無所属) 木村 真

今回の総選挙で、私は大阪8区(豊中市)から立候補した服部良一さん(社民党公認、近畿比例区と重複)を全面的に支援。市議としての活動、地域ユニオンでの活動など、後回しにできることは全て後回しに、全力を挙げて選挙戦に取り組みました。「完敗」という厳しい結果が出たその日から、後回しにしたいろんなことがドッと押し寄せてきて、選挙が終わる前より忙しい生活の中、しっかりした総括もできていませんが、考えていることをまとめてみます。

1・社民党はその歴史的使命を果たし終えた

全国での無効票計140万に対し、社民票は131万票。無効票以下では、もはや「政党」と呼べるレベルではありません。何をどう言い繕ってみたところで、「良し悪し」とか「べき論」は別として、一つの事実として、「もはや社民党の命運は尽きた」と受け止めるべきです。政治運動・社会運動には、今ある現実以外にいかなる立脚点もありません。社民党から候補を立てて選挙をたたかうことに、もはや積極的な意味を見出すことは、少なくとも私にはできません。

2・広がりが全くなかった

豊中市内の服部さんの選挙事務所には、連日たくさんの人が集まりました。ポスティングに、事務所での電話かけに、ハガキのあて名書きに、メガホン隊(駅頭や街中で、マイクは使わず地声で「服部良一」「社民党」をアピール)に、それぞれが動き回りました。事務所に出入りした人の数は、当選した自民候補にも、2位で比例復活した維新候補にも、「劣らない」どころか、むしろ上回っていた、圧倒していた、とすら思います。ところが票数では5分の1以下の完敗。票数と事務所に出入りした人の数の比率を考えれば、「広がりが全くなかった」と言わざるを得ません。

3・「中間団体」がなかった

前項と同じことを、別の言い方をしているだけです。自民党なら、商工会・医師会・農協・地域の商店会・青年会議所…等々、票の取りまとめをする組織・団体があります。旧社会党や今の民主党なら労組でしょう。

良し悪しとは別に、現実として、選挙とは「中間団体」、つまり候補者本人や政党やコアな支持者や一般有権者との間に位置するグループが、票を取りまとめていくわけです。今回の服部さんの選挙では、そういう役割を果たすグループがありませんでした。いろいろなグループ・人が選挙に関わりましたが、「身内」が集まっていきなり不特定多数に訴える、あるいは、「活動家か無関係か」の0か100かという感じ。「中間」がない、「近しい外部」への広がりがない。そんなふうに感じました。

4・その他/デモでの高揚と街の日常風景の「格差」

「戦術」あるいは「作戦」レベルでの不手際も、多々ありました。突然の解散で時間のない中、やむを得ない面がありましたが、今後のために、総括は必要でしょう。

中でも、@選対体制・役割・責任の分担体制が不明確で、選挙区と比例区の連携も悪く、情報や指示が錯綜し、効率的・機能的な動きができなかった。A選挙法の制約の中で、ほぼ唯一自由に配れる印刷物である政党機関誌(社会新報号外)に、服部さんの名前も写真もなかった。Bフェイスブックなど、ネットを使った情報発信も、支持者向けのもの、「身内向け」がほとんどで、一般有権者へ向けた服部さん・社民党の政策のアピール、外への広がりをつくるためのものがほとんどなかった。C社民党が選挙区・比例区ともに候補者をほとんど立てなかったことが、集票面でマイナスになっただけでなく、実動者の圧倒的多数を占める党員外支持者に社民党の「本気度」を疑わせ、やる気をそぐことにもなった…といった点を指摘しておきます。

ただし、4の戦術や作戦は本質的なことではありません。戦術の工夫によって、選挙区で6・8%だった得票率を10%程度に伸ばし、12万余だった近畿比例区票を20万程度にはできたかもしれませんが、どっちにせよ当選には届きません。やはり1〜3が大きかったと感じています。1は社民党の問題ですが、2と3、「広がりのなさ」「『中間』のなさ」は、私たち運動側の問題です。

私は、365日×24時間の圧倒的大部分を豊中市内で過ごしています。脱原発、反戦平和その他の学習会等も、ほぼ全て豊中市内で企画開催しています。集まる人の数はせいぜい十数名、少ない時は5〜6名でしかなく、たまに百名超の集会もやりますが、それは年間最大行事として、かなりの気合を入れてやるというレベル。

人を集めること、理解の輪を広げることは、本当に難しい、と日々感じています。そんな私が大阪市内での集会やデモに参加すると、数百名から時には千名を超えることもあり、「人数が多いと、それだけで盛り上がるな」と感じます。ですが、冷静に考えれば、大阪府だけで人口は885万人、千名集まっても人口比で0・1%程度の極小勢力でしかないのです。にもかかわらず、何となく盛り上がった気分になってしまう。ついさっきまで高揚した気分で「原発いらない!」と叫んでいたのに、解散した瞬間にデモは街の中に溶け消えてなくなり、夜なのに昼間のように明るく無駄な電気を垂れ流している街の中を、「いったいさっきのデモの熱気は何だったのか」などと呟きながら、複雑な気分で駅へと向かう…。

煎じ詰めれば、つまり、自分が住む地域・隣近所で、また職場の同僚と、親兄弟と親せきと、自分が取り組んでいる運動についてきちんと話をしているのか?「この指とまれ!」で集まってきた人とだけやるのではなく、また駅頭などで不特定多数の人に訴えるだけでなく、自分の周りの人たち〜当然、「いきなり原発止めたらいろいろ困ったことになるんちゃうの?」とか、「国を守るためには軍事力は必要」とか「貿易立国・日本はTPPに入るべき」とか考えている人や、何にも考えてない人(なんていないけど、私たちにとって気になる問題があまり気にならない人)がほとんどです─に対して、理解の輪を広げる努力を日常的にどれだけしているのか?「仲間」とまでは言えないまでも、ある程度の理解はしてくれるという人を、どれだけ増やせるか? 「広がり」とは、結局のところ、そんなようなことではないか、と思っています。

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