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2014/12/29更新

2014年総選挙に思う@

「オール沖縄」が示した反自公ファシズム統一戦線の課題

阪南大学准教授 下地 真樹

今年の初め、橋下徹大阪市長が「大阪都構想」を争点にした出直し市長選に討って出たことは、ご記憶の方も多いでしょう。野党が候補擁立を見送り、数多くの泡沫候補を押しのけ、橋下徹氏が再選されました。残ったのは、史上最低の23・59%という惨憺たる投票率でした。

ところで、再選されても橋下徹氏の任期は伸びません。地方自治法と公職選挙法において、首長の辞職に伴う選挙でその辞職した本人が再選した場合、その任期は辞職以前に予定されていた任期満了の日までであることが規定されているからです。彼は2011年暮れに大阪市長に当選しましたから、彼の任期は2015年暮れまでであり、再選しても変わりません。

どうしてこのような規定があるのでしょうか。言うまでもなく、選挙制度の濫用の防止です。もし、このような制限がなければ、現職市長は自分にとって最も有利な時期に辞職することで、選挙を有利に戦えることになってしまいます。そのような職権濫用を法で禁じておくのは、当然のことでしょう。

少し前置きが長くなりました。要するに、安倍の今回の解散総選挙は、これが仮に法的に許容されているとみなすとしても、その内実において、その合理性において、容認できない破廉恥な行為であることを確認するためです。そのことは、臆せず指摘しておく必要はあります。

今回の解散に正当性はない

内閣の衆議院に対する解散権は、日本国憲法第69条に記載されています。その条文によれば、内閣が衆議院を解散できるのは「不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決した」場合です。そして、内閣が解散を決定したならば、天皇に対して解散を宣するように「助言と承認を行う」わけです(日本国憲法第7条)。

普通に考えれば、衆議院が「不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決した」場合に解散は制限されている、と考えるべきです。ところが、何もないのに突然に内閣が「解散を宣言せよ」と天皇に「助言と承認」を行う、つまり、憲法第7条を直接適用して解散してしまう、ということがまかり通っているのです。そして、解散総選挙を経て再選されると、(地方自治体の首長とは異なり)ちゃんと解散総選挙後から4年間の任期を得ることができます。まったく呆れた話です。

過去の歴史を振り返ると、2005年に小泉純一郎が仕掛けた郵政解散も、相当にデタラメな解散でした。というのも、解散の引き金になった郵政民営化法案を否決したのは、衆議院ではなく参議院でしたから。

しかし、2014年、安倍晋三が仕掛けた今回の解散は、あの時にも増して理由のないデタラメな解散でした。何せ、数多の批判を浴びた解釈改憲による集団的自衛権の容認、特定秘密保護法といった重要論点についてはまったく無視して、誰も反対しない「消費増税の先送り」を争点にするというのですから。そもそも、沖縄県知事選で示された「辺野古新基地建設、高江ヘリパッド、オスプレイ配備にNO!」という民意を無視する輩が、「選挙で信を問う」というのは冗談でしかないでしょう。

沖縄の話が出たところで、別の話題に移りたいと思います。沖縄県知事選において翁長雄志を当選させた「オール沖縄」陣営は、今回の総選挙に際し、沖縄の4つの小選挙区すべてで勝利し、公約違反を犯した自民党所属の国会議員たちを一掃しました。「自公が再び議席の3分の2を獲得」というウンザリするニュースの中で、沖縄での勝利は久しぶりに溜飲が下がる出来事でした。

しかし、沖縄だけの戦いにしてしまってはいけませんね。私たちはどのように行動するべきでしょうか。そのヒントも、沖縄にあると思います。「オール沖縄」の戦いは、自公ファシズム体制に抗する政治党派が結集すれば、十分に選挙の中で対抗できることを示してもいるわけですから。共産党まで含む幅の広い共闘を実現することが、今後の私たちの課題です。

とはいえ、あまりせっかちにならないようにしましょう。共闘を急ぐあまり、「なぜ候補者を立てるのか」「なぜ分裂するのか」と、共闘に向けた丁寧な話し合い抜きに非難し合う光景があちこちで見られます。ここには解きほぐすべきしがらみがあります。頭を冷やして知恵を出し合いましょう。共闘に向けた努力は、互いを尊重し、互いの利害を理解しあうことから。慌てず急いで、言葉を紡ぎ、届けましょう。「オール沖縄」だって、たくさんの言葉を丁寧に紡いでいく中から生まれたのであり、一朝一夕に成ったのではないのですから。

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