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2014/11/23更新

沖縄県知事選の意義

保守・革新を超え 政府の植民地政策を打ち破った「オール沖縄」

新しい沖縄県知事に、翁長雄志氏が当選した。仲井真氏に約10万票差をつける圧勝だ。沖縄県民の喜びもひとしおである。

16日夜、私も投票を済まして名護市内の「勝手連事務所」で地元の皆さんと一緒に開票速報を待っていた。投票が締め切られた直後の8時1分、テレビ画面に「翁長当選」の速報が!皆ビックリで大歓声!喜びの余り、椅子から転げ落ちる人や、感激の余り泣き出す人も!

さらに凄かったのが、県議補選の結果であった。自民党の末松文信は、1月の名護市長選挙に出馬したが稲嶺氏に敗れて落選、県議に返り咲きを狙った。そこで「末松の当選を阻止しよう」と、長年名護市議を勤め引退した共産党の具志堅徹氏が、急きょ、無所属の革新統一候補として立候補し、1対1の選挙戦で末松を破って当選したのだ。

これで、名護は1月の稲嶺さんの市長選勝利、9月の市議員選挙での与党勝利、今回の翁長氏当選、県議補選の勝利と4連勝となった。

翁長とともに!/「沖縄の自立」への思い

県知事選告示後の11月1日、翁長陣営の最初の山場となる総決起集会「うまんちゅ1万人大集会」がおこなわれた。集会には、主催者の予想をはるかに超える1万4千人が結集した。

参加した知人は、「過去の選挙戦では見られなかった規模。ウチナーンチュの見せた感涙に、心が一つになった」と語ってくれた。

翁長氏から「圧倒的な勝利を」「新基地はあらゆる手段によって必ず止めます!」という言葉が飛び出した。集まったウチナーンチュは大歓声で応えた。

知人は、「1609年の薩摩侵略以来、見失いがちだった『自立心』がようやく再興していたのを、仲井真によって崩された悔しさ。沖縄戦で住民の盾になるべき日本軍が住民を盾にして多くの命が奪われ、さらに先祖伝来の土地をも奪われた怨念。長い間ヤマトやアメリカに対して抱かされたコンプレックス…そうした複雑な事情から、ようやく『翁長と共に抜け出せる』と、確かな展望を見た『感涙』だったのでは」との感想を語っていた。

そして、知事選最終日の11月15日夜。県庁前広場での「打ち上げ大演説会」には7500人が結集した。「広場向かい側のパレットビルの2階まで人・人でギッシリであった。集まった人の顔には、誇りに満ちた輝きがあった。いい笑顔が目立った」(知人の感想)。

沖縄の新しい時代を切り開いた選挙

この県知事選をめぐって、本土から「翁長は自民党、安保容認派だ!」「承認撤回を明確に述べていない」など、翁長氏を批判する意見が見られた。これはあまりにも沖縄の状況を理解していない。昨年1月、まさに「オール沖縄」で上京し、オスプレイ配備の撤回と普天間基地の閉鎖・撤去を訴える「建白書」を安倍総理に提出した意義を、しっかり理解すべきだ。

だからこそ「オール沖縄」に驚愕した日本政府は、「沖縄県民を分断し、対立させる」という植民地政策を押し進める工作に出たのである。それが、沖縄選出の自民党国会議員5名に対する恫喝による「辺野古承認」強制であり、仲井真知事を沖縄振興策で屈服させた「辺野古埋め立て承認」だった。

仲井真氏を支援した勢力を見ると、古い保守政治勢力と古い経済界(国場・大米建設といった土建業界や、沖縄電力などの大企業)だ。日本政府からの交付金増額などを期待する、本土と癒着し、植民地支配を託された支配層である。

それに対して、翁長氏を支援した勢力は、新しい地域政治勢力(自民党から飛び出した保守と革新諸政党の協力体制)と新しい経済界(基地と観光は両立できない、基地経済からの脱却、沖縄自立経済の確立をめざす)が応援。日本政府から自立した沖縄をめざす勢力であった。

前参議院議員・山内徳信氏は、この県知事選の意義を次のように述べている。

「戦後69年という歳月をかけて培ってきた意識の変革で、真の沖縄をつくり上げていこうという歴史的な変化だと捉えている。…保守、革新ではなく、県民の生命財産、安全を守り抜くという、新しい沖縄党のようなものが誕生する可能性を秘めている。新しい歴史を切り開くこの選挙をチャンスとみるかどうかだ」(「琉球新報」)。

この「県知事選」の勝利で、沖縄の諸問題が一挙に解決するわけではない。しかし、この勝利をバネにして、県民は翁長氏と共に「基地のない沖縄」「自立する沖縄」をめざして前進していく決意なのだ。沖縄の新しい歴史を切り開いた県知事選であった。

安倍政権に終止符を!

県知事選のわずか3日後の11月19日。安倍政権は、知事選勝利に沸く沖縄県民の気持ちを踏みにじり、防衛局がキャンプ・シュワブゲート前に県警を配備、海上には海保のゴムボート7隻を動員して辺野古基地工事を再開した。

工事再開の中で、20日午前、ゲート前で怪我人が出た。ゲート前で抗議していた辺野古の女性(85歳)が機動隊員に排除されて転倒、一時意識不明で病院に搬送された。沖縄の民意は明確に示された。即刻工事を中止すべきだ。

いよいよ総選挙だ。本土の私たちも本気度を問われる時が来た。このチャンスを生かし、安倍政権に終止符を打つための「協力と合同」戦線を大胆に作り上げよう!

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