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2014/7/4更新

メディア時評

安倍暴走政権支える記者クラブメディア(下)
節目で会食し報道幹部を買収 

浅野 健一
ジャーナリスト/同志社大学大学院社会学研究科博士課程教授(京都地裁で地位保全・確認係争中)

政治家は軍事力に頼るのではなく、外交に努力すべきだ。中国、韓国とは経済的な結びつきは強固で、経済文化交流は、前と変わらず順調だ。

安倍政権が「北の脅威」と宣伝してきた朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)とのストックホルムでの国交正常化交渉に、大きな進展があった。ストックホルムで行われた朝日政府間会談の結果と関連し、5月29日に、両政府は日朝平壌宣言に基づき、不幸な過去の清算、懸案の解決、国交正常化の実現に向けて誠実に臨むことで合意した、と同時発表した。

7月1日には、北京で日朝会談が開かれる。

日中の間には、1978年8月12日に北京で締結された日中平和条約がある。園田直外相と黄華外交部長が署名した。この条約は《両締約国は、主権及び領土保全の相互尊重、相互不可侵、内政に対する相互不干渉、平等及び互恵並びに平和共存の諸原則の基礎の上に、両国間の恒久的な平和友好関係を発展させるものとする。相互の関係において、すべての紛争を平和的手段により解決し、及び武力又は武力による威嚇に訴えないことを確認する》と謳っている。

日朝の進展に関し、テレビでは「北朝鮮に何度もだまされてきた」「朝鮮が送ってきた横田めぐさんの遺骨は、DNA鑑定で別人のものと分かった」「08年の拉致被害者調査の約束を、福田首相の辞任後、一方的に破棄した」などというコメントが相次いだ。「遺骨が偽物」というのは日本政府とマスコミのウソで、朝鮮から送られてきた遺骨は高熱でだびに付されていて鑑定ができなかったのだ。朝鮮は、スウェーデンなど中立的な第三国で再鑑定を提案してきた。日本政府は、「偽物」と主張する遺骨を朝鮮側に返還していない。08年合意は後継の麻生政権の不誠実な対応に朝鮮が反発したのであり、日本側にも責任がある。

NHK検閲の安倍に政治家の資格なし

マスコミは、日本がかつて40年にわたり朝鮮を侵略・強制占領した過去を全く反省しない。民族まるごと拉致、監禁、連行、徴用、放火、殺害、強かんしたことを忘却して、「日本人拉致」だけを問題にするのでは、カルト国家だ。

安倍首相は、日本人が襲われるとか、領土を侵犯されるとかの想定ばかりをするが、日本が海外を侵略することは全く考えない。69年前に崩壊した大日本帝国時代に、「自衛のため」と称して2千万人以上のアジア太平洋諸国の無辜の民を死に至らしめたのは、日本である。安倍首相の祖父・岸信介は、東条内閣の商工相で元A級戦犯被疑者で、中国・朝鮮の人民を強制連行した張本人である。

過去の侵略と人道に対する罪に目を閉ざし、米国と共にいつでも戦争ができる国を目指して、安倍首相の暴走が続くが、内閣支持率は下がるどころか上昇している。記者クラブメディアが権力監視の役割を放棄しているからだ。

安倍首相は15日の会見の後、マスゴミ企業幹部と会食している。これまでも靖国神社参拝、消費税増税実施などの政治的節目で、メディアのトップや有力ジャーナリストと会食している。日本の大手マスコミ幹部6名は、一緒に打ち上げ会食をしていた!

5月27日の日刊ゲンダイはこう報じた。

《午後8時6分に西新橋のすし店「しまだ鮨」に到着した。安倍を出迎えたのは、朝日新聞の曽我豪編集委員、読売新聞東京本社の小田尚論説委員長、NHK島田敏男解説委員、日テレ粕谷賢之報道局長、毎日新聞の山田孝男特別編集委員、時事通信社の田崎史郎解説委員。それぞれ、自社のコラムなどを担当する編集幹部の面々だ。

「時事の田崎氏は、安倍首相と何度も会食する親しい仲。毎日の山田氏は集団的自衛権行使容認派で知られ、朝日の曽我氏も、同紙に珍しく安倍擁護派の人物です。首相にすれば、解釈改憲宣言の打ち上げ気分だったのでしょう」(政界関係者)》

5月30日の「しんぶん赤旗」によると、NHK島田氏は、16日未明に放送された「時論公論」で、集団的自衛権について解説している。

「週刊金曜日」5月26日号に、同誌編集部の野中大樹氏が、九州の民放幹部ら16人が09年に、九州電力がお膳立てした「欧州エネルギー事情調査団」に参加したことをスクープしている。私は、野中氏の記事に次のようなコメントを寄せた。

「ジャーナリストは常に取材対象者と距離を置くべきで、特に権力・大企業との癒着は許されない。九州電力お抱えで海外に行くなど、論外だ。十数社が一緒に参加するところにも、日本の記者クラブ制度の弊害があらわれている。海外取材が必要なら、個々の社とジャーナリストが独自に企画するべきだ」

私たちは、安倍首相が小泉内閣の官房副長官だった01年1月に日本軍慰安婦問題を取り上げたNHK「ETV特集」について、「公正・中立にやってほしい」と注文を付け、番組が改竄されたことを忘れてはならない。官房副長官が放送前の番組に「意見」を述べ、それで番組内容が変わるとすれば、憲法で禁止されている検閲に当たる。安倍氏は、その時点で政界から永久追放されるべきだったのだ。

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