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2012/7/12更新

 「世界一危険な基地」固定化を許さない!

オスプレイ配備反対 普天間飛行場早期返還

宜野湾市民大会に5200人

6月17日、「普天間飛行場へのオスプレイ配備等に反対し、固定化を許さず早期閉鎖・返還を求める宜野湾市民大会」(主催・同実行委員会)が、宜野湾海浜公園屋外劇場で開かれ、5200人が参加した。30℃を越す炎天下、会場に集まった市民の共有した思いは、もうこれ以上の危険を押しつけないでくれ、という悲痛な訴えであった。宜野湾市での市民大会は8年ぶりで、2004年9月の沖縄国際大学への米軍ヘリ墜落への抗議以来、2回目となる。

 欠陥機・オスプレイの配備

@7月に普天間飛行場に配備すると発表

宜野湾市の真ん中にある世界一危険な普天間飛行場に、米軍は現在使用中のCH―46ヘリコプターに代わり、新型ヘリコプター(垂直離着陸輸送機MV―22オスプレイ)を今年12機・来年12機、計24機配備することを公言してきた。ところが、防衛省はこれまで「米軍から聞いていない」とウソをついて、沖縄側にオスプレイの配備を隠し続けてきた。

米軍当初10月に、普天間飛行場に配備すると言っていたが、7月中に米国から12機分のオスプレイの機材を船舶で那覇軍港に搬入し、オスプレイを組み立て、軍港から普天間飛行場に直接飛行させて配備する方針を発表した。

 A配備計画の朝令暮改と沖縄差別

日本政府は3月に、沖縄に配備する前に岩国基地(山口県岩国市)かキャンプ富士(静岡県御殿場市)に一時駐機させ、飛行訓練をさせる案を出したが、無理と判断し、オスプレイを直接、沖縄に配備する、と発表。

沖縄選出の下地幹夫国会議員(国民新党幹事長)すら、「こんな危険なオスプレイを直接沖縄に配備するのは、沖縄の反発が強い。キャンプ富士に一時駐機させるべきだ」との政府要請をする。しかし、これも地元の反発が強く調整できる状況ではない、と不可能になる。

ところが、日米両政府はまた方針を変更して、7月20日ごろオスプレイを岩国基地に搬入し、組み立て作業を実施、2週間程度の日程で試験飛行などを行い、安全性を確認し、「8月初旬にも普天間基地に正式配備する」と言い出す。

岩国側は、政府からの要請である一時駐機を引き受ける様子を見せていたが、6月14日のフロリダ州の墜落事故を受けて、「安全性について納得いかない」と、受け入れを容認しない考えを表明している。オスプレイ配備に対する沖縄の反発があまりにも強いので、政府は本土で一時駐機を認めさせ、なんとか沖縄をなだめすかし、配備を進めようと考えている。

森本新防衛大臣は、オスプレイが4月にモロッコで起こした墜落事故について、米政府から「機体に不具合はなかった。人為的ミスであった」との調査結果概要をもとに、「問題はない」と答えているが、モロッコの墜落事故の最終報告書はまだ出ておらず、フロリダ州の墜落事故についても、事故原因は判明していない。

日本の大臣であれば、国民の命を最優先に考え、「原因究明がなされ最終報告が出るまで、配備を延期してほしい」と、最低限この程度のことを米国側に要求し交渉するのが当たり前ではないか。沖縄県民の命を守ろうとする姿勢が、まったく見られない。

 B構造的な欠陥と危険

この垂直離着陸輸送機MV―22オスプレイは、米国でも「欠陥機」として有名。1991年以来、開発段階で4件、実戦運用開始後も3件の墜落事故などの重大事故を起こし、これまでの死者は36人に上る。「未亡人製造機」というあだ名もつけられた。

宜野湾市民大会決議

米軍普天間飛行場は、戦後66年を経過した現在も宜野湾市の中心に存在し、早朝から深夜に及ぶ騒音被害、航空機事故などによる様々な被害を与え続けてきた。

日米両政府は、普天間飛行場の危険性を除去するため協議を重ねてきたが、現在も飛行場では飛行訓練が繰り返され、周辺住民は、危険に晒され続けている。

とりわけ04年8月13日に発生した、沖縄国際大学へ米軍大型輸送ヘリが墜落・炎上する大事故は、市民、県民に大きな被害と恐怖を与えた。

そんな中、昨年6月米国防総省は、現在普天間飛行場に配備されているCH-46を、今年の遅くから垂直離着陸輸送機MV-22オスプレイに換装すると発表した。オスプレイは、開発段階から墜落事故が頻発しているが、実戦配備された10年4月に墜落死亡事故、今年4月もモロッコで墜落し米兵2名死亡(2名重傷)、さらに6月にも、フロリダ州で墜落し米兵5名が負傷する等、到底安全とは言えず、普天間飛行場への配備は断じて容認できない。

普天間飛行場全面返還合意の原点は、民間住宅が隣接し「世界一危険な基地」と言われる普天間飛行場の危険性を1日も早く除去し、市民、県民の過重な基地負担の軽減を図ることである。宜野湾市民は、安全性が懸念されるオスプレイの飛行場配備に反対し、普天間飛行場の固定化を許さず、以下を強く求める。

@普天間飛行場へのMV―22オスプレイ配備を直ちに中止すること。

A普天間飛行場を固定化せず早期閉鎖・返還すること。

B普天間飛行場の閉鎖・返還の時期を明確にすること。

以上決議する。2012年6月17日

実戦配備されてからも、昨年4月にアフガニスタンで墜落事故。今年4月11日には、アフリカ・モロッコでの合同演習中に墜落し、海兵隊員2名が死亡、2名が重傷を負う事故を起こしている。さらに、防衛省がオスプレイ配備の環境審査書で「優れた運用上の安全記録を誇る」と県に説明した翌日の6月14日に、フロリダ州で訓練中のオスプレイが墜落事故を起こした。

多くの専門家が、このオスプレイは安全面で構造的に問題がある、と指摘している。普通のヘリコプターは「オートローテーション機能」(空中でエンジンが停止しても、機体降下時に気流を受けて回転翼を回し、浮力を発生させて安全に着陸するための機能)があるので、民間市街地に墜落することなく、基地に帰還できる。しかし、このオスプレイは、ヘリコプターのようにオートローテーションが機能するのか?という疑問がある。

「エンジン停止時の緊急着陸では、オートローテーションに頼らない。固定翼機モードで滑走する」と、ボーイング社のガイドブックは説明し、事実上の機能欠如を示唆している。市民団体「リムピース」が発行したパンフには、「簡単に言えば、体重が重いから小さな傘では落下スピードを緩和できない。だから、エンジンが停止すると地面にたたきつけられる。それが、オートローテーションが利かないということだ」と解説している。

オスプレイ配備阻止への闘い

公表されたオスプレイ運用を見ると、伊江島補助飛行場やキャンプ・ハンセン、キャンプ・シュワブなどの中部訓練場、北部訓練場(高江)、嘉手納基地など、CH―46が使用しているすべての基地を、訓練区域に挙げている。

この運用計画を見ると、欠陥機・オスプレイが沖縄本島上空を飛行することになり、全県が「普天間化」することがはっきりした。配備の危険性は沖縄全域に及ぶということで、県民の反対の動きは頂点に達している。

また、本土での訓練についても、キャンプ富士(静岡県御殿場市)と岩国基地(山口県岩国市)にも派遣され、低空飛行訓練のため国内各地に設定されている「航法経路」(5ルート)で訓練することが示されている。沖縄だけでなく、本土でも欠陥機・オスプレイが飛び回るのである。

今沖縄では、日米両政府のオスプレイの沖縄配備方針に、明確にノーを突き付けた宜野湾市民大会の成功を受け、県内すべての41市町村議会が抗議決議を採択し、「県民大会」開催の声が高まっている。

日米両政府の高圧的な態度に怒る沖縄県民は、このオスプレイ配備を体を張って阻止する覚悟を示している。市民大会前においても、普天間飛行場ゲート前での「抗議集会」や「座り込み抗議行動」が、普天間爆音訴訟団を中心にして取り組まれた。オスプレイ配備は、基地問題全般に対する県民の不満が一気に爆発し、まさに「島ぐるみ闘争」に発展する可能性がある。

オスプレイは、本土上空も飛行し、いつどこに墜落するかわからない危険性がある。本土の皆さんも、このオスプレイの日本配備を阻止する闘いを、地元から開始しよう!

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