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2012/5/9更新

現 地 報 告

おおい町民地元住民への各戸チラシ配布・訪問アンケート調査

安全への不安と雇用不安の板ばさみにゆれる住民

4月21〜22日、「プルサーマルに反対する若狭の普通の民の会」(以下「民の会」)ら4団体が、おおい町住民を対象にしたアンケート調査を行った。大飯原発再稼働について、「賛成」「反対」を問うのではなく、町民の複雑な心境や、「何が心配であるか?」を表明してもらうことを目的としている。

原発再稼働については、住民間で、心配ごとや複雑な胸の内を話す機会はほとんどないという現状があるため、アンケートという形で、町民の思いを表明してもらうことを計画した。

アイリーン・スミスさんもそのひとり。同女史は、美浜原発細管破断事故(1991年)の際も地元に入り、住民へのビラ配りを続けてきた。

地元住民の反応について同女史は、「運転が止まっているので、生活は本当にたいへんになっている。生活と安全性への疑問の板挟みになっている」という。それでもビラを渡すと、地元住民からは「ごくろうさま」との言葉が返ってくるので「感激する」と語っている。

アンケートの選択肢は、戸別訪問をして、町民の話の中で出てきた内容から項目を作成、メンバー42名が戸別訪問をして、該当する項目(3項目まで)にシールを貼ってもらった。348名(男性144名、女性204名)が回答した。

★アンケート結果
心配していることで多かった上位5項目 

1.福島事故のようにならないか心配・・・・・144名
 2.子や孫の将来が心配・・・・・・・・・・・119名 
 3.雇用(仕事)が心配・・・・・・・・・・・107名
 4.事故になったとき、避難できるか心配・・・96名
 5.福島原発事故の原因究明がまだで心配・・・63名  

アンケート結果から次のようなことが読み取れる。

@住民の多くが、再稼働による福島原発事故のような大事故を心配している。

A原発関連で働く人が多い立地町ゆえに、再稼働されない場合の雇用や仕事が心配の種である。@事故の心配、とA雇用の心配、の両方を選択した人も多い。

B再稼働してもしなくても、今のおおい町の状況について、多くの人が「子や孫の将来が心配」と思っている。

C事故の際に安全に避難ができるのか、また、福島原発事故の原因究明がまだであることに対する不安の声も多い。

「町民の声を聞いてほしい」

「民の会」らは、住民説明会についても、戸別訪問で聞いた内容を紹介している。

@当日、批判的な発言をすれば、ケーブルテレビで全町に放映されるので、どこの誰が何を言ったかが分かるので、発言できない。

A議員や市長たちのアンケートだけでは、町民の本心は伝わらない。

Bテレビや新聞、政治家たちは、再稼働で騒いでいるが、町民の声や意見を聞いても らったことはない。

C無記名のアンケートのようなものを町として正式にやって、町民の意見をまず聞いてほしい。

Dマイクロバスの集合場所が遠く、年配者の参加は無理。

E「うちはお父ちゃんが行く」ということで、女性は参加を控えている、等の意見が寄せられたという。

町民は、意見表明の場を奪われている。

再稼働阻止の現地行動事務所準備中

おおい町民との交流・勉強会や全国脱原発交流会も

原発再稼動で焦点になっている福井県おおい町に、再稼働に反対する京都・大阪・滋賀の活動家らが「STOP☆ おおい原発再稼働 現地アクション」として、5月5日頃の開所をめざし、現地事務所を準備している。今後「バイバイ原発・京都」(代表・長谷川羽衣子さん)メンバーらが常駐し、住民への各戸チラシ配布・訪問アンケート調査など行う予定。

これとは別に、大飯原発への道路脇には、監視テント5張がすでに設置されており、再稼働が決定された場合には、座り込みなどの直接行動も取り組まれる。

長谷川さんらは、、枝野経産相の福井県庁訪問(4月14日)の際にも抗議行動に参加。15日にはおおい町に移動して、再稼働反対の申し入れ行動を行ってきた。

その後も、おおい町と京都を往復しながら準備を進め、23〜24日には、「原発いらない福島の女たち」・たんぽぽ社(東京)らと協議し、住民を対象に、福島の経験を語る交流会・茶話会なども計画している。

26日のおおい町住民説明会が終わると、時岡町長の政治判断に焦点が移っていく。現地事務所は、@おおい町住民と京都・滋賀・大阪住民の信頼関係をつくり出し、A時岡町長に対し、住民の不安をしっかり受け止め、セレモニーだけで再稼働容認を打ち出さないよう監視する拠点として、機能することになる。

偽りの安全神話─おしつけのセレモニー─

厳戒態勢のおおい町住民説明会  

大飯原発再稼働をめぐり、おおい町は26日に住民説明会を開催したが、警備費などに約2600万円を支出していた。おおい町町長の専決処分として報告され、議会で承認された。

これを決めた臨時議会で猿橋巧議員(共産)は、「町民以外に広く意見を聞くべきで、物々しい警備の中で自由な議論ができるのか」と質問、「再稼働のためのセレモニーにすぎない」と批判した。これに対し、時岡忍町長は「周辺自治体への説明は国が行うべきであり、町民によい環境で説明を聞いてもらうため、警戒はやむを得ない」と述べた。

住民説明会は町が主催し、町民以外を完全に閉め出して開催された。メディアも事前登録した者のみで、周囲には高いフェンスが張り巡らされ、県警機動隊など100人以上の警備態勢を敷くという、極めて閉鎖的な運営。

開催に伴う費用の内訳は、警備費1701万円、公設公営ケーブルテレビへ番組制作委託費294万円などだが、この会場を運営するのが、町長が社長の会社という未確認情報もある。

町は「説明会後、国から負担金への支援がある」としており、政府予算で厳戒下の住民説明会が開催されたことになる。

福井県・西川知事 再稼働容認に向けセレモニー最終段階に

再稼働への同意要請を受けた福井県は3月16日、有識者でつくる県原子力安全専門委員会(第1回)を開いた。同委員会は12人で構成。この日は中川英之委員長(福井大名誉教授)ら7人が出席し、経産省原子力安全・保安院の市村知也・原子力安全技術基盤課長ら3人から安全基準の適合状況などの報告を受けた。

その後、国が示した暫定安全基準や関電が政府に提出した安全性向上計画(工程表)について技術的な視点で議論した。

委員からはいくつか質問や注文がでたようだが、所詮できレース。というのは、福井県原子力安全特別委員12名のうち5名は、関電・三菱重工から寄付を受け取っており、内1名は関電が100%出資する研究所の所長だったことが、判明しているからだ。

委員会は、3月18日に大飯原発現地視察も終了している。中川委員長は、産経新聞のインタビューに答えて、「原子力に代わる基幹電源はない」「安定し、質のよい基幹電源があってこそ、代替電源が成り立つ」と強調している。また、「議論に必要な素材はこれで出切っていると思う」との考えを示しており、報告書の結論は、出ているも同然だ。

24日の大飯町住民説明会も終わり、再稼働に向けたセレモニーは、終盤に近づきつつある。

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