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2012/1/14(土)更新

2012年終末論的展望

世界全体が米国の代償を支払う

ジェイムズ・ぺトラスについて
ニューヨークのビンガムトン大学の元社会学教授で、現在ブラジルやアルゼンチンの土地を持たない農民や失業者の闘いの支援顧問。近著は『アラブ反乱と帝国主義者の反撃』)

2012年の経済的、政治的、社会的展望は大変暗い。主流派エコノミストでさえ、2008年〜2009年の「大不況」よりもひどい状態を予測する。国家財政は負債ばかりが増大、資本主義体制を救うために背負わされる増税への民衆反乱も増加、政府は身動きできない。

30年にわたって資本主義拡大を続けてきた組織や経済関係が、今や混迷と崩壊の過程にある。これまで経済発展のエンジンであった米国とEUは、没落の道を辿っている。新成長センターの中国、インド、ブラジル、ロシアもすでに「予定終了」の徴候を見せ始め、2012年はどんどん失速していくだろう。

EU崩壊

EUはバラバラになるだろう。ドイツ、フランス、北欧諸国は不況を乗り切ろうと必死になり、孤立した英国もマイナス成長に嵌り込み、シティの金融業者は慌てて湾岸産油諸国やその他の「ニッチ」(隙間市場)に新しい投機機会を探す。

東欧や中央ヨーロッパ、特にポーランドとチェコ共和国はドイツとの関係を深めるが、世界市場の全般的衰退を受けて、経済苦から逃れられない。南欧(ギリシャ、スペイン、ポルトガル、イタリア)は、大幅賃下げや社会給付カットによる負債返済が消費を著しく減退させるので、深刻な不況に陥る。

労働人口の3分の1が失業または不安定雇用という不況で社会的対立が激化、各地で民衆蜂起が起きている。EU解体で、通貨ユーロからもとの通貨への復帰とそれに伴う平価切下げや保護主義が、各国で議論されるようになる。

ナショナリズムが台頭。ドイツ、フランス、スイスの大銀行は南欧への貸し出しで大損失を計上、国家的救済が必要となる。

それをめぐって納税者大衆と銀行の間で紛争。労働組合の戦闘性と右翼の擬似「ポピュリズム」(ネオファシズム)の間で国内が騒然となり、階級対立が激しくなる。

 米国は猛烈な不況に

米国経済は、肥大した財政赤字に押し潰される。2012年、世界不況を支出で乗り切ることもできないし、アジアへの輸出でマイナス成長から抜け出ることもできない。中国もインドもその他のアジアの国々も、元気を失いつつあるからだ。中国の成長率は9%を下回りそうだし、インドの成長率は8%から5%以下に落ちそうだ。

米国の「雇用なき経済回復」は、2012年になって急激な失業増となるだろう。資本は縮小した労働者にもっと多く生産させ、もっと少なく支払うので、搾取(「生産性」)は高くなり、その分賃金所得層と利益所得層の格差が大きくなる。

不況と失業増に加えて、銀行や企業を救う資金を捻り出すために、社会保障費が削減される。このため選挙民は、現職に投票しないか棄権するか、あるいは「ウォール街占拠」のような抗議行動で反応する。

不満、怒り、敵意が政治文化となる。民主党は中国を悪玉に仕立て、共和党は移民を悪玉に仕立てて国民の注意を逸らそうとする。「イスラム・ファシスト」特にイランは、両党が共通する悪玉である。

 危機の中の戦争

米国の主要ユダヤ人組織の会長52人とそれに追従する「イスラエル・ファースト」の議員、役人、軍人が、イラン攻撃を煽っている。過激派イスラエル政権が米議会や米国防総省やホワイトハウスの盲従を引き出すことに成功すれば、終末論的破局の可能性は本当になるかもしれない。

 ヨーロッパ緊縮財政で階級闘争激化

英国、ラトビア、南欧までヨーロッパ全土で実施されている緊縮財政は、2012年にはもっと厳しいものになるだろう。公的部門の大量首切り、民間部門の雇用減と賃金減が長期にわたる階級闘争となり、政権を揺さぶる。南欧の「緊縮政策」には債務返済不履行が伴い、それがドイツやフランスで銀行破産へとつながる。

英国の金融支配階級は保守政権による労働者や一般大衆の反乱の弾圧を要求する。新しいタイプのサッチャー型独裁支配が現れるだろう。野党や労働組合は、空虚な抗議声明を連発するだけで、他方で反乱に走る下部組合員大衆を締め付ける。要するに、2011年に導入された退行的社会・経済政策が新警察国家体制のお膳立てとなり、労働者や未来のない失業若者への血の弾圧が行われるのだ。

米国の終焉となる戦争

 (以下一部全文は1434号を入手ください。購読申込・問合せはこちらまで。)

米国では、オバマはイラクとアフガニスタンから兵力を引き上げ、イラン戦争に向けて準備させるなど、中東地域の新大戦争の用意をしている。イランを破滅させるために、米政権はシリア、パキスタン、ベネズエラ、中国の親イラン勢力を潰す密かな軍事的・市民的作戦を展開している。イラン近隣諸国での一連の戦争、世界的規模の制裁、イランの基幹産業を狙ったサイバー攻撃、イランの科学者や軍人への極秘テロ暗殺などはすべてイランに対する米国・イスラエルの好戦的戦略である。

米国が直接的戦費を負担するだろうが、世界全体が経済的代償を払うことになるのは確実だ。2012年初期の不況はこの戦争によって2012年末には大恐慌となり、あちらこちらで大衆蜂起が起きるだろう。

結論

2012年は、欧米から発する経済危機がアジアやアフリカやラテンアメリカへ広がっていく転換期だといえる。まさにグローバル危機だ。この危機を克服しようとする試みは、帝国主義間対立と植民地戦争によって妨害されるだろう。それに対して世界各地で大衆運動が台頭、それは抗議から反乱へと発展、望むらくは、社会革命と権力奪取へつながるようにしよう。

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