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▲ちょうど3/15頃につぼみだった鉢植えの花に、異常な変化が現れた。(相模原市で/撮影・平野貴人さん)

▲子どもたちを被ばくの危険にさらすわけにはいかない
更新日:2011/06/06(月)

[コラム] きくちゆみ/子どもたちを原発から決別させる時がきた

3・11を忘れるな

9・11事件から10年間、私は公式発表と実際に起きたことの乖離に悩まされてきたが、今度は「3・11原発震災」について、政府と電力会社の発表と、実際に起きていることとの乖離に悩まされている。これから長い間、この問題に取り組むことになりそうだ。

チェルノブイリから25年経った今、さまざまな情報が現地から届く。かの石棺の中には、今もヨーロッパ中の人々を死に至らしめることが可能な放射性物質が存在しているとか、チェルノブイリ原発事故の前に地震があり、それが原因で原子炉が暴走したのではないか、という情報などだ。当時、地震と原発事故の関係がクローズアップされていたら、地震国日本の原発推進政策は、変化していただろうか。

チェルノブイリは、時空を越えて未来世代と広範な人々に影響を与え続けている。かつて日本で原発を受け入れた地元の政治家が「100年後に奇形児が生まれても、自分には関係ない」と言い放ったが、今を生きる私たちが未来世代のいのちを傷つけてはならないし、日本に住む人が世界の大気と海を放射能汚染して許されるわけがない。

地震と津波は自然災害だったが、東電福島原発事故が引き起こしていることは、地震国に原発を運転させ続けてきた原子力産業と政府責任者による人災だ。

日本では、第2次世界大戦の敗戦のときにも、国民全てが一億総懺悔をすることで、戦争責任が曖昧にされてきた。今また「電気を使ってきたみんなが悪い」という論調があるが、これには注意しよう。日本の電気需要は、原発なしでも火力と水力で賄えることは、データで証明できる。

私たちの生活や、あらゆる経済活動にもエネルギーは必要だが、それは原発による電気である必要はない。

日本は地震国で、3・11以降、地震活動はますます活発になっている。そんな国が原発を止めないなら、「フクシマ」は「ハマオカ」「ミハマ」「ゲンカイ」「イカタ」でも繰り返されるだろう。3・11を教訓に、日本のエネルギー政策がシフトすることを目指したい。

「子どもだまし」の新基準値

しかし今ここで論じたいのは、3・11以降、日本の放射線の基準値(「安全」の目安にされる)が軒並み引き上げられ、そのまま子どもたちにも適用されていることについてだ。

たとえば、空間線量は20倍の年間20ミリシーベルト、水や牛乳では30倍の300ベクレル/リットルが新しい基準値になった。

4月25日の日経新聞は、国立ガンセンターの津金昌一郎・予防研究部長らが比較検討した「100〜200ミリシーベルトまでは、受動喫煙のガンリスクと変わらない」を紹介して、多くの人に安心感を与えた。しかし、子どもたちや妊婦、乳幼児にまでこの値が適用されたことは、緊急時だとしても妥当ではない。

子どもは、いかなる低レベルでも、被ばくは避けた方が良い。イギリスの小児科医のアリス・スチュワート、欧州放射線リスク委員会のクリス・バズビー博士、ピッツバーグ医科大学放射線物理学名誉教授のアーネスト・スターングラス博士、広島の被ばく者の診療に携わる肥田俊太郎医師などは、「放射線量にしきい値はない」と主張する。テレビで「安全」を繰り返す御用学者より、彼らのほうがより信頼に足る。

新しい「安全基準」とは、日本に暮らす乳幼児も含めた人々に、これまでより何十倍の放射線に耐えることを強いている。それでもまだ大人はいい。問題は子どもたちだ。放射線の影響は、幼い者ほど大きい。

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