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更新日:2011/06/03(金)

[社会] 断片的情報の中で原発建屋爆発
──南相馬市役所秘書課 星高光(48才)

電話もインターネットも不通…

南相馬市では、福島第1原発での連続した建屋の爆発・火災などで、恐怖を感じた住民が、親族などを頼って大量に避難しました。人口約7万1千人のうち、ピーク時で約5万人が300ヵ所程の避難所に避難しました。このなかには、友好関係がある群馬県東吾妻町・新潟県、防災相互協定を結んでいる茨城県取手市・杉並区など県外に避難された人も含まれます。

南相馬市は、10キロ圏内に属する地域が一部あり、20キロ圏内にある小高・原町地区に住む1万4千人に避難命令が出され、立ち入り禁止区域となりました。この地域で今も27世帯45人が暮らしています。さらに屋内避難勧告が出ている20〜30キロ圏に約4万5千人が居住し、30キロ圏外の住民もいるので、市は4つの部分に分かれます。

1号炉の建屋爆発(3月12日)で20キロ圏内に避難指示が出た時に南相馬市は、約9千人の避難民を受け入れました。ところが20〜30キロ圏内の屋内退避命令が出て以降、物資が入らなくなり、避難所の運営が不可能となりました。このため、まず@避難所の避難民を退避させ、次にA車がない、避難先がないなどの理由で避難できない住民約3500人を、バスなどで県外に送り出しました。

ところが今では、枝野官房長官が「自宅退避」から「圏外への自主退避勧告」に切り替えた(3月25日)のとは裏腹に、住民が帰って来始めました。避難生活が長期化する中で、原発の爆発という劇的な状態から小康状態とも思える報道が増え始め、会社経営者や商店主には倒産するという危機感もあったようです。

ここ1週間ほどは日増しに住民の数が増えており、半分くらいは帰ってきているとの感触があります。4月4日の時点で、ガソリンスタンドを含めて110ほどの商店が営業を再開しました。こうしたことも、住民の帰還を促しているのかもしれません。

私は、原発の状態が好転したとは全く思っていませんが、この地域に居続けなければならない者にとっては状況が良くなっています。郵便局が近日中に再開するという情報もあります。

子どもへの風評被害

政府は、「風評被害を出さないように」と言っていますが、政府自身が立ち入り禁止区域を設け、日本のマスコミは、記者たちに対し50キロ圏内立入禁止を指示し、風評被害を振りまいている現実があります。「実態を観て頂きたい」とお願いしましたが、記者が現地に来ないので、電話取材が殺到しました。

これに対し、外国の記者たちは、立ち入り禁止区域に暮らす住民を取材し、レポートしました。ジャーナリストとして当然の行為なのかもしれませんが、勇気ある行動だと思います。今回、いい勉強をさせて頂いているなぁと思うところはあります。

風評被害については、農水産物よりも、子ども達に向けられることを心配しています。全国に散らばった子ども達は、各地の学校に編入させてもらっていますが、南相馬市は、今や原発被害地の象徴の様になっています。

そうしたこともあって、南相馬市としてスクリーニング(放射線検査)を行っていますが、非常に低くて0.8μシーベルト位で推移しています。

ところが、子ども達の避難先で「被爆地から来た」と言われ、差別されているという噂も聞きます。家族や友だちを失い、家を失った子ども達が、環境の大きな変化の中で生きようとしています。正しい知識を伝えていただき、子どもたちがこれ以上傷を負うことのないよう、ご配慮願います。

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