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更新日:2011/04/19(火)

[反貧困] 国会へ届いた「こんな就活おかしい!」

“就活” が抱える問題に関する院内集会報告

“就活”が抱える問題を大学生自身が訴える院内集会が、2月22日(火)に開催された(参議院議員会館)。

彼らは働くことを嫌っているのではなく、勤労意欲がないわけでもない。現在の「就職活動のあり方」に異議申し立てを行っているのだ。

企業・大学当局・就職情報会社が一体となって学生へ「新卒での就職」を煽る現状。入学式前に就職適性検査を行う大学。就活がストレスとなり、精神を病んでしまう学生までいる異常さ。

就活への疑問をアピールするために彼らが実施したのが、昨年の「就活くたばれデモ」(札幌・東京・大阪・松山で同時開催)だ。(編集部 渡邊)

◆  ◆

院内集会には約140名が参加。立ち見が出るほどで、社会人や報道陣、国会議員の姿も見られた。

基調講演で東京大学大学院教授の本田由紀さんは、学校における職業教育の新たなあり方を提起した。学生から社会人への移行をスムーズにするためには、実践的なノウハウを職業教育として取り入れ、理不尽な働かされ方への「抵抗」能力と、他の職に就く際にも応用が効く柔軟な専門性としての「適応」能力を養うべきという。

就活デモ実行委員会の本間篤さんは「新卒時の就職活動一発勝負だけで人生が決まるのはおかしい」「就活は茶番」と断言。入学式前に就職適性検査を行い、就職予備校と化す大学へ疑問をぶつけ、「社会人としての基本がなっていない」と企業を批判。@選考から落とした理由を説明せず、講義のある日中に選考を行っている。A交通費など多大な出費は学生に負わされる。B既卒者は選考の対象外となり、社会の余計者扱いされる。

続いて同実行委員の加藤智将さんは、「就活と学業の両立のため、睡眠時間が3〜4時間しかなく、体力的にきつかった」という。@企業は学生に専門性を求めながら、学業に支障が出る時期から採用活動を開始する。A学生は充分に就職活動しているにもかかわらず、就職情報会社のナビサイトから更にエントリーを煽られる。Bナビサイト掲載の企業は実際は大手ばかりのため、結局一部企業へ学生のエントリーが集中する。C女子学生への差別的な採用がいまだ続いている、等の実態を批判した。

参加学生からは、就活に問題を感じてストレスとなり、「精神を病んでいたため、就職活動もできなかった」「自分のように就活すらできなかった学生への支援も考えて欲しい」との訴え。続く1名は「失敗に寛容な余裕ある社会を作らなければ、就活問題は解決しない」「内定率が現時点で68%といっても、内定先企業が労働法を厳格に守っている企業かどうか、実態まで調べた統計を出して欲しい」と要望した。

雨宮処凛さんは、「金銭的な事情で就活が充分にできない人がいるのは、重大な問題」「就職活動費を稼ぐためのバイトに追われることは、「お金のあるなし」という格差問題に関係すると思う」とコメントした。

実行委員から与党・民主党へ「新卒一括採用の是正」「就活早期化防止」「公的職業紹介機関の積極的な活用」など、法律の策定を要望する「申し入れ書」が紹介された。

それに対する国会議員たちのコメントは、ピントはずれの発言が多かった。学生の訴えは「就活そのものがおかしい」なのに、「ここは資本主義の国だから、株主として企業へ働きかけるべき」「本来の大学のあり方を考えたい」「企業へ追加採用を要請した」等々。

民主党の吉川沙織参議院議員は、「就活問題で生まれる若い世代での格差は、日本社会全体の格差へつながる」と述べた。「就職氷河期」世代であり、山一證券破綻後に文学部女子学生として就職活動に苦労した経験を語るなど、学生の活動への共感は強いようだ。

就活デモに対して「何も変わらない」といった非難があったが、学生たちの活動によって院内集会が開催された。今後、学生側は本格的に行政との交渉に入る。

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