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▲▲ムバラク退陣を求めるエジプト民衆 エジプトを訪問したオバマ米大統領と談笑するムバラク前大統領(2009年)
更新日:2011/04/01(金)

[海外] エジプト/問われるエジプト新政府の立場
──2月12日付 「電子インティファーダ」 アリ・アブニーマ(翻訳・脇浜義明)

まずはイスラエルとの平和条約?

昨晩、ホスニ・ムバラクがエジプト革命の最初の要求に屈して退陣することが発表されたとき、私はヨルダンの首都アンマンのエジプト大使館へ向かっていた。アンマンの街全体が歓喜に溢れていた。あらゆる方角から人々が大使館へ向かっていた。老いも若きも、家族連れも。

ヨルダンの経済の底辺を支えているエジプト人出稼ぎ労働者たちは、国旗を掲げ、太鼓を叩き、歌いながら行進した。「エジプト万歳!」「人民が政権を倒したぞ!」「次は誰の番だ?」「明日はアッバスだ!」と、何千人もの群集がシュプレヒコールしていた。みんな、エジプト人民の革命はアラブの革命だ! 自分の闘いだ!と感じているようだ。チュニジアに続いて、長い間人民を殺害し、投獄し、抑圧してきた中東の圧政大国が崩れたのだから、人々の喜びは天に届く勢いだった。

祝いの宴が終わっても、革命は続く。エジプト人民が望むような国を再建するまで、革命は終わらない。

アンマンの通りに立っていると、「エジプト革命が中東地域全体に大きな影響を与えることは確実だ」と実感できた。すべてのアラブ人が、自分をチュニジア人やエジプト人と同一視し始めた。

アラブの支配者の方も、自分がベン・アリやムバラクと同じ運命を辿るのではないか、と恐れ始めた。

一連の民主化革命は、父や母が語っていたが、「おとぎ話」だと相手にしなかったものや、アラブ諸国の支配者が破壊しようとしてきたもの、即ち、「アラブ運命共同体」感を復活させた。ムバラクと同じように、心が死んでいるアラブの独裁者たちは、「人民の心も死んでいる」と思っていたのが、チュニジアとエジプトの革命によって、人々が生きていて変化を望んでおり、その可能性は無限だということが示されたのだ。それは次々と飛び火するだろう。

イスラエルの危惧

これが中東の勢力関係に大きな影響を与えることは、確実だ。米国、イスラエル、それに与する政権の立場が弱くなった。

まずチュニジアを失った。次いで、米国が後押ししていたレバノンのラフィーク・ハリリ政権が崩壊し、今度は、ラマラのマハムード・アッバス一味を除いて最も親イスラエル的だった、ムバラクとオマール・スレイマンが倒れた。

イスラエルと米国は、暫定統治するエジプト軍が「すべての国際的・地域的条約を維持する」と声明を出しているものの、新たに誕生する新民主主義エジプト政府が、1979年のイスラエルとの平和条約を破棄するのではないか?と心配している。

しかし、条約そのものは大きな問題ではない。条約は、@エジプトに米国とイスラエルの反アラブ政策への協力を義務付けてはいなかった。A」条約は、エジプトが米国・イスラエル・サウジアラビアの対イラン戦略の支柱になることを義務付けていなかった。Bアラブ内の対立を意図的に煽るのに利用されてきたレトリック、「スンニ派とシーア派対立」にエジプトが乗って、それをエスカレートさせることを義務付けていなかった。Cイスラエルのガザ封鎖や、諜報機関のパレスチナ人弾圧に協力することを義務付けていなかった。D米国の「反テロ戦争」に協力して、エジプトが米国のための「拷問センター」の役割を果たすことを義務付けていなかった。Eアフリカから黒人が入るのを嫌うイスラエルのために、シナイ半島を旅するアフリカ人移民をエジプトが射殺することを義務付けていなかった。

その他、ムバラク政権がやってきた恥ずべき行為の多くは、イスラエルとの平和条約の規定によってではない。従って、エジプト新政権が条約を維持する選択をしたとしても、親米・親イスラエル、反アラブになることはないのだ。

米国は、エジプトでのヘゲモニーを簡単には捨てないだろう。暫定軍事政府との結びつきや経済援助をテコにして、新エジプトが独立中東政策を採らないように、あらゆる妨害をするだろう。だから、革命の今後にとって最大の障壁は、米国の中東戦略の野望であろう。

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